85.好きだった ページ9
-No side-
堰を切ったように話し出すA。
『好きだったんだよ。』
『否、好きなんて言葉は薄っぺらく感じる程に私は』
『織田作を尊敬していた。』
『真っ直ぐな信念を持った彼を羨望していた。』
『私に、色んな光を見せてくれた。』
『そんな彼を、お前は私から』
『私から…奪って』
『うば…って』
不自然に言葉を止める。
坂口はじっと待っていた。
望んでいた彼女の本音。心の声。
例えどんな罵声が飛ぼうとも、受け入れる積もりだった。
__其れが僕に出来る罪滅ぼし。
『……
お前が奪ったのだと、唯只管に罵る事が出来れば
…私も楽だったのに』
坂「!」
『でも無理だった。だって奪われたのは私だけじゃないから。
治も、安吾も、だから』
____嗚呼、彼女は本当に大人になった。
____善い意味でも、悪い意味でも。
____僕を、
未成年のAには、大切な人の死は受け入れ難いものだった。そして其れは、彼女の中で"坂口安吾"を生贄にする事で事実を飲み込んでいたのだ。
『何時までも被害者面してられない事ぐらい、分かってた。もう、
駄々を捏ねるのは止めにするよ』
____最後ぐらい、素直に成るべきだよね、織田作。
『安吾。 ごめんなさい』
Aは椅子から立ち上がり、頭を下げた。
坂「藤原さん、頭を上げて下さい」
坂「友人に頭を下げられるのは、どうも、居心地が悪いのです」
坂「ですから…。
それに謝るべきは僕の方です。許されない事をしたのは事実ですから。」
『謝らないでくれ。お前は特務課としてすべき事をしたのだろう。
…もう、この話は止めにしよう。こういう雰囲気は疲れる。要らぬ事まで話してしまいそうだ』
顔を上げたAは静かに笑った。
・
『もうそろそろ行くよ。お互い後始末が待っているしね』
坂「嗚呼…また徹夜ですかね…」
『本当にブラックだな、お前んとこも』
坂「否定はしません」
『之からも武装探偵社の事頼むよ〜?』
坂「…胃に穴が開きそうです」
『あ!もう直ぐ与謝野先生が来るってさ。
喜べよ』
嫌らしい笑顔を浮かべたのを見て、坂口は自身に起こるであろう悲劇を察した。
坂「麻酔、してくれますよね…??」
『さァね。
…最後にちゃんと話せて良かったよ』
坂「…最後?」
『こっちの話。じゃあ
元気でな』
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麗葉 - 続きみたいです!!主ちゃん死なないでぇ! (7月15日 21時) (レス) @page32 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続きはないんですか?是非‼️作ってぐたさい‼️読みたいです!!!。 (2022年2月16日 15時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - ゑごまさん» 夢主の誕生日をお祝いして頂きありがとうございます!読み返していただけるなんて嬉しすぎて…(T ^ T)完結までよろしくお願いします! (2020年10月8日 1時) (レス) id: 9c4eef1db5 (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 夢主happy birthday!! この作品が大好きで、最近読み返してます!更新再開するの楽しみにしてます! (2020年5月21日 9時) (レス) id: da1fba78c8 (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - 1.9さん» ありがとうございます!とても励みになります!更新頑張ります! (2019年5月19日 16時) (レス) id: 9c4eef1db5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈々 | 作成日時:2019年4月23日 22時