番外編 メリーバッドエンド ページ11
いつの間にか意識が飛んでいたようだ。
私の視界には知らない天井があった。
「国木田さんと、戦って…あれ…国木田さんって誰?…あれ、私、何やってたんだろう」
頭がグワングワンと揺れているような感じがする。
全てに小火がかかっていて、何も思い出せない…
「目が覚めたかい?」
「貴方は…」
「私は太宰。太宰治だ。なにか覚えていることはあるかい?」
覚えていることはある?太宰さんは私のことを知っている?
幾ら思考を巡らせていても何も出てこない。考えれば考える程頭が痛くなって、吐きそうになる。
「無理して思い出さなくていいんだ。世の中には知らない方がいい事もあるからね。」
「太宰さんが消したんですか?私の記憶を。
まるで、貴方が消したような言い方じゃないですか。」
「私は消していない。
…それ、辞めた方がいいよ」
いきなり話を変えたと思ったら何を言ってるのだろうこの人は…
「分かっていないのかい?爪、噛むの辞めた方がいいよ。」
理解の出来ていない私を見て、太宰さんがいった。いつの間に噛んでいたんだろうか。
…
何も思い出せない私を見てか、太宰さんは私を探偵社で保護しようといった。
でも保護されるのは何となく嫌だ。そう思った私は、社長に直談判した。そうしたら数日後に起きた入社試験。私はそれに合格し、武装探偵社員として今は生活している。
でも、なにかが足りなかった。
不満等ないのに、誰かに会いたいとそう願っていた。
そんな事を考えていた私は、誰かにぶつかってしまったようだ。
「すみませ、ん…」
クマのある目に特徴的なロシア帽。此奴、太宰さんの言っていたフョードル。
「いえ、大丈夫です。どうしました?酷く驚いた顔をして」
肌白い手が私に触れる。
「触るな!お前は鼠だな?フョードル・ドストエフスキー!武装探偵社員として、私はお前を捕まえる。」
「おや、困りましたねぇ。でも出来ますか?化け物の貴方が。」
鼓動が早くなる。全身に鳥肌が立って、私は一歩後退りをした。
化け物?私は化け物なんかじゃ…
その言葉は私の心を酷く抉った。
「世の中には、知らない方が…出会わない方が幸せだった組み合わせもあるのですよ。AAさん。」
フョードルは私に背中を見せて去っていった。
今思えば何故あの時私を殺さなかったのだろうか
読めない。嫌いだ。あの人は。
_「元気そうで安心しました。それで良いのです。」
メリーバッドエンド『引き裂かれた関係』
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シロクロ(プロフ) - 他のパターンもあったらぜひ見たいです!! (2021年9月16日 17時) (レス) id: e7729c81d6 (このIDを非表示/違反報告)
シロクロ(プロフ) - バッドエンドめっちゃ好きです! (2021年9月16日 17時) (レス) id: e7729c81d6 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 好きです……更新楽しみにしております!! (2021年9月15日 6時) (レス) id: c53e6fc030 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - お気に入り10評価当たり前ですけど入れました!!最高ですか??愚問でしたね((続きを楽しみにしております! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サクシャ | 作成日時:2021年9月13日 21時