その17 ページ20
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「…沖矢」
そこにいたのは頭に浮かび続けるアイツじゃなく、
沖矢…いや赤井秀一がいた。
こいつもこいつでお人好しだよね。
公安の私を助けるなんて。
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「申し訳ないですが,彼女は私の連れなので。」
沖矢は私の手を繋いだ。
…降谷はより指にタコが出来た手。
あ。またアイツと比べてしまった。
「じゃ、帰りましょうか。」
沖矢が笑顔で私にそういうと、
男達が黙っているはずもなく…
「ふ、ふざけるな!」
また殴りかかる。
隙がありすぎ。
こんなのすぐに警察に捕まっちゃうよ。
そんな呑気なこと思っていたら、沖矢に肩を抱かれる。
驚いて彼を見ると、いつも閉じている目が少し開かれていた。
そのまま沖矢は私を守るように引き寄せ、男に蹴りを入れた。
唖然とする男達に何も言わずに、沖矢に連れられその場を離れた。
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「お前は何を考えているんだ。」
どこかの道端でそう問われる。
腕を組み彼は体重を電柱に預けた。
口調が沖矢じゃないことから、本気で呆れられているという事がわかる。
「……だって」
「嫉妬といってもやっていい事と悪い事があるだろう。」
「これじゃ本当に浮気になる」と、言った時ポツリポツリと雨が降り出した。
あいにく私は傘を持っていない。
手ぶらの沖矢もそれは一緒だろう。
彼はため息をついて私を見た。
「俺はマスクだから濡れては困る。家に帰るがお前はどうする?」
服がどんどん濡れていく。
沖矢は眼鏡を外し、髪をかきあげ、私を見下ろした。
言葉が出ず俯く私に、彼は声をかけた。
「…自分の家に帰るなら送っていくぞ。」
「……今、降谷に会いたくない。」
沖矢は「しょうがないな」と呟いて私の手を引っ張った。
冷たい雨に濡れる沖矢の手が今は少し暖かく感じた。
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ふゆーれい(プロフ) - ヤ るとかの意味調べたら「おっふ…」ってなったww←中1女子 (2022年7月27日 18時) (レス) id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
恋 - 「その11」でポアロに行ったことないという描写がありましたが、物語冒頭でポアロに行ってませんでしたっけ? (2021年12月22日 3時) (レス) @page14 id: 9b11383033 (このIDを非表示/違反報告)
シェラ - 失礼します。公安部は警視庁ではなく警察庁ですよ〜 (2021年6月9日 18時) (レス) id: 55904390b6 (このIDを非表示/違反報告)
可愛いい予感 - 頑張れ (2020年1月13日 21時) (レス) id: e81acf9075 (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - クッションにあったソファ投げつけるんですか笑笑 (2019年10月13日 21時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
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