その49 ページ3
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用意された個室。
目を閉じベッドで横たわっている彼女。
コ ナン君たちを先に帰らせて,ベッドの横の椅子に腰かける。
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彼女は無事に手術を終えた。
右手は骨 折してるが,直る範囲で。
これから日常にも影響はでず生活できるそうだ。
つまり,手術は成功したのだ。
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「…」
彼女の手を握る。
駆けつけた時にはなかった温度。
今もわずかに冷たく感じるが,あの時の死 人のような冷たさではない。
手に彼女の命を感じる。
救急車での不安な思いは飛んだ。
コイツは大丈夫なのだ。
コイツは生きている。
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「っ…よかったっ……」
視界が緩み頬に涙が伝う。
握っている彼女の左手に,自身の涙がぽろぽろ落ちる。
彼女が死 んでしまったら。
きっと俺はとんでもない孤 独感に襲 われるだろう。
俺の帰りを待つ人も,
俺と嬉しさを分かち合う人も,
俺が愛を向ける人も,
居なくなるという事なのだから。
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早く。
一刻も早く。
コイツを抱きしめたい。
生きてる証を感じたいのだ。
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「っ…」
わずかに俺が握る彼女の手が強張った気がした。
「……おい、」
強く手を握る。
すると彼女も俺の手を握り返した。
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「っA!」
緩む涙腺なんて気にしてられずに,彼女の名を呼んだ。
一刻も早く目を開けてくれ。
「……A…っ」
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「…降 谷……っ」
彼女が薄く目を開けた。
コイツは…いや,Aは俺を見てクスリと力なく笑った。
「…なんて顔してんの…」
俺の頬をギブスの付いた手で添えた。
親指で目元を擦 られる。
目からぽろぽろと涙が零れ落ちる。
握った彼女の左手。
俺の頬に添えられたいるギブスをした右手。
何より目の前でこいつが笑っているのだ。
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「っ…」
「…泣かないでよ。」
添えられた手を自身の手で上から添える。
彼女のその手に縋 るように涙を零す。
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「…っ生きてて…よかった…っ」
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最後のセリフ『生きててくれて嬉しい』にしようか迷いました(中 の人ネタ)
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美玲 - 面白いです!続き楽しみにしています! (2023年3月4日 19時) (レス) @page12 id: 9bc9fcf77d (このIDを非表示/違反報告)
なでぃあ - とても好きで読んでるんですけど、続きが気になりすぎます!お願いです!更新してください!! (2023年1月6日 21時) (レス) @page12 id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
心路 - たくさんお話が見たいです! (2022年12月11日 19時) (レス) @page12 id: a7da08970e (このIDを非表示/違反報告)
優 - 何回も読んでしまうほどお気に入りです!更新して欲しいです‼ (2022年10月18日 17時) (レス) @page12 id: fd925561bb (このIDを非表示/違反報告)
るるんぴ - 凄く好きです!!続きよかったら書いて欲しいです!!🙏 (2022年8月30日 9時) (レス) @page12 id: 5497c634d4 (このIDを非表示/違反報告)
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