浮気者 ページ34
何故彼がこのような状態になってしまったのか。近くにいた男性隊士に問うと、申し訳なさそうに事の発端を説明し始めた。
「俺がいけなかったんだ。お前に酒は早いって少し煽ってしまったというか...尋常じゃない速さで飲むもんだから止めはしたが..聞かなくて」
なるほど...状況は把握出来た。その隊士を責めるつもりも毛頭ない。炭治郎はその程度で頭に来るような子じゃない。相当Aが孤独感を感じさせてしまっていたという事。苦手な酒を意地で煽り続けさせるくらい...
ーまた、私が鈍感過ぎるばかりに彼を傷付けてしまったのか..ー
「先輩のせいじゃないです。炭治郎がこうなったの、私の責任で..」
例の隊士に向き直りそう告げると、炭治郎はぐいとAの体を自分側に向ける。泣きそうな顔を歪めて彼は必死で彼女に縋り付いた。
「何で余所見するんだこっち見てくれ」
「っ、」
「......恋人らのに...」
俯き加減で炭治郎はぼそりとそう呟いた。周りに聞こえたか聞こえないかの声量だったが、Aはハッとして炭治郎の口を押さえようとした。しかし、その手はたしっと阻まれる。ばっと顔を上げ炭治郎は大きく口を開いた。
「Aさんの浮気者!貴女は俺のッー!!ー..」
「!」
その瞬間、炭治郎は力なくAの肩に被さる。宇随が手刀で炭治郎の首を叩いた為であった。
やれやれといった様子で額を拭う動作をする彼と、何が起きたのかちんぷんかんぷんな妻と隊士達。
Aはただ茫然と宇随を見上げた。
「宇随様...」
「A、部屋案内してやるからこいつ介抱してやれ。お前らは気にせず続けろー」
ぱんぱんと手を叩きその場を収めると、ここは任せたと雛鶴に告げ宇随は炭治郎を抱き上げた。
促されるままにAは広間を出て彼の後に着いていく。ガヤガヤとした場から離れた所で彼は口を開いた。
「A。お前炭治郎と恋仲になったんだろう」
「!知ってらしたんですか...」
「あぁ、こいつは喋ってねぇぞ?俺の感だ感。それでだ...この先の付き合い方で少し口出させて貰うけどな。あんまりやきもちは焼かせてやるなよ。勿論こいつの執着が異常なのはわかる。けど、目の前で彼女が他の男に優しくしてるの見りゃ誰だってムカつくだろうよ」
「....」
「これからお前ら二人には柱稽古中も行動共にして貰う事になる。色恋が御法度とは言わない。ただ、雑念はここで片付けておけ」
気の済むまで話し合えと、彼は個室へ二人を放り込んだ。
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八千代(プロフ) - あいさん» リアルの日常とても辛い思いをされてるのですね..私の作品が少しでもあいさんの普段の楽しみになれたのならこんなに嬉しい事はありません。私こそ暖かいコメントに勇気とモチベを貰えました笑ありがとうございます! (2021年5月20日 22時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます(*´-`)何度も読み返してくださってるなんて光栄です!亀更新で本当申し訳ないのですが、私も思い入れのある作品なんで、頑張って書きます!ありがとうございます!冨岡さんの夢は初挑戦ですが星詠み終わったら検討いたしますね(*^^*) (2021年5月20日 22時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 続き→冨岡さん落ちの夢小説も読んでみたいです!あくまで個人的な希望なので無理せず、ご検討よろしくお願いします!私は精神障害で親からの当たりも酷くて毎日死ぬほど辛い状況ですが、このお話を読んで少し元気をもらいました。ありがとうございます! (2021年5月20日 20時) (レス) id: b63ea41164 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんばんは!このお話とっても面白いですね!既に5回くらい読み返してます!そのくらい好きなお話です!更新を楽しみにしています!これからも、頑張ってください!応援しています!個人的な希望なのですが、このお話が終わったらでもいいので、八千代さんが書いた、 (2021年5月20日 20時) (レス) id: b63ea41164 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 花霞さん» 良かったです(^^)ありがとうございます!これからも頑張ります! (2020年12月7日 18時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月30日 22時