鈴蘭への恋慕 〜参〜 ページ3
それから、事あるごとに家族の目を盗んではA姉さんの羽織の匂いを嗅ぐという、今思えばそんな最低極まりない習慣が根付いてしまった。
A姉さんへの想いに蓋をしようとした手前、彼女自身に近づく事は控えるようになった。
それまでは時たま一緒の布団で寝ていたけれど、一切拒否するようになったし、食事の席も前までは下の子達を差し置いて真横を陣取っていたけれど、1番遠くに座る。
わかる人にはわかってしまったようだが、母と父は顔を見合わせつつも、特に何も言っては来なかった。
事情を知っているし、せいぜい少し早い思春期に突入してしまったか、くらいに思われたかもしれない。
けれど、そんな努力も完全に水の泡だ。
結局、彼女を求めて【こんな事】をやっているようでは本末転倒もいい所だ。
情けない、けどその習慣だけはどうしても止められなかった。
こうして炭治郎は着々と、Aへの想いを募らせていったのだ。
そんなある日の事、ついに呼び方にも違和感を持つようになってしまった炭治郎は彼女にこうお願いをする。
「A姉さん。」
「炭治郎..どうしたの?」
「あの、今度から姉さんじゃなくて、Aさんって呼んでもいいだろうか?」
単純に、彼女の事を姉として見れないのだ。どうしても1人の女の子として接してしまうし見てしまう。だから、そうお願いした。
えっと言葉に詰まった彼女は、しばらく黙り込むと俯いてしまった。
「っ...」
すると、彼女から悲しい寂しいという不穏な匂いがしてきた。慌てて炭治郎はどうしたのかと問いかける。したらばこう語り始めた。
「炭治郎..最近余所余所しいわ。私の事も、避けているでしょう?私、何か変な事したかな?怒らせた事があるなら謝るわ。だから...だからそんな事言わないで?」
ついにはらはらと泣き出してしまった。
泣かせるつもりなんて毛頭なかったので、先ほどの言葉は撤回せざるを得なかった。
「ごめんっ!わかった、A姉さんって呼ぶから。姉さんは何もしてないよ?俺怒ってないよ、避けたりしないよ、だから..お願いだから泣かないでくれ。」
あぁ、自分の行動が彼女をこんなにも不安にさせてしまっていたのかと深く後悔した。
A姉さんの泣き顔なんて見たくないよ。こんな顔させてしまうなんて、男として失格だ。
こんな顔をさせるくらいなら
ー彼女への想いを自覚して、上手く付き合っていくしかないんだー
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ライ - 全然大丈夫です!むしろ八千代さんの書いた星詠みの設定凄く好きなのでその設定にして頂けるとこちらも嬉しいです♪ありがとうございます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - ありがとうございます!!こちらこそよろしくお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» ただ基本星詠みの番外編とさせていただいてるので、設定はそちらに寄せさせていただきますのでご了承ください。頑張って書きます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» コメントありがとうございます(*´-`)その設定は私としても大好物です笑 是非リクエストに応えさせたいただきたいので宜しくお願いします。 (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ライ - いつも更新楽しみにしています!勝手なのですが、炭治郎がヤンデレで夢主が他の男性と仲良くしているのを見て激しく嫉妬するお話を書いて頂けませんか…?良ければお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月1日 19時