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◎ゆるくいこうよ- 7 ページ7

「伊沢じゃん。なにしてんの」

講義の空き時間に、校舎の裏でウィダーを咥えながら駄弁っていると、
偶然通りかかった須貝が声をかけてきた。
そもそもキャンパスも校舎も違うし、ここはかなりキャンパスの奥まった場所のはずだけれど……
偶然なのかと訝しげに須貝を見ると、須貝は「怖い顔すんなって」と軽く笑いながら伊沢の隣に座った。

「最近どうよ」
「どうよも何も、撮影でしょっちゅう会ってるじゃん。そのまんまよ」
「そう?」

須貝の、「そう?」の言い方がなんとなく水内を彷彿とさせ、俺はぎくりとする。
須貝は俺のそんな様子に気付かないようで、そのまま話を続ける。

「まあそれなら良いんだけど。それはそれとして。最近カノジョとはどうなん」

俺は須貝からそんな言葉が出てきたことに驚き、咥えていたウィダーを思わず取り落としそうになった。
メンバーとは、プライベートの話はあまりしない。
チャンネルやメディアの中での立ち回りとして、そういった話をするのはあまり良い影響がない、という認識の影響もあるだろうが、
なんとなくタブーとなっている。

特に須貝はそういう雰囲気に聡い男だったから、自分からわざわざその話を持ち出したことに驚いていた。

「別に、普通だけど…… なんで?」
「それならいんだけど」

須貝は言葉を一瞬切り、息を止め、校舎の陰の、吸い殻が散らばった灰皿の方に目をやった。

「お前の学科のクラスに、水内碧っているだろ。知り合い?」

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作者名:ななほし | 作成日時:2021年1月20日 2時

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