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洗い物を終えて、私も仕事の準備のために洗面台の鏡の前でメイクをする。
「…あっ、隣いい?」
「あ、うん。ごめんね。」
濡れた髪をタオルで拭いながら、私服に着替えた玉森くんが私の隣に立ってドライヤーで髪を乾かし始めた。
「……る、ね」
「……えっ!?なに?」
鏡越しで話しかけられたけど、ドライヤーの風の音で言葉を聞き取れなくて思わず聞き返す。
「そのメイク雰囲気変わるね、って。」
「あ、あぁ。ごめん。
全然聞こえなかった(笑)」
お互いに顔を合わせて、再びドライヤーのスイッチを入れて髪を乾かす玉森くん。
仕事のメイクはいつもよりしっかり目だから、普段と雰囲気が大きく変わるとよく言われるけど……
「…すっげー。睫毛長っ。」
「……あの、やりにくいんですけど。」
「いや、こんなにマジマジと見ることないから。」
マスカラを塗る私の真横で、しかも超至近距離で顔を覗き込まれて、すごくやりにくいんですけど。
化粧をする女性なら誰もが共感できると思うけど、アイラインとかマスカラ塗る時の顔って絶対見られたくない。
「ねぇ。髪乾いたんじゃ…っん!!」
玉森くんの方に顔を向けると、急に視界が遮られて口元には柔らかい感触。
目を見開いたまま固まってると、悪戯に笑ってる玉森くんのあの笑顔。
「可愛くてつい。」
「っ…、////」
カーッと自分の顔が熱くなっていくのが鮮明にわかる。
玉森くんと一緒にいたら、こんなことがこれから毎日続くってこと?
耐えられるかな……私の心臓。
「また顔真っ赤にしてる」
「だっ…だって、朝からこんなことして…///」
半分パニクる私にジリジリと詰め寄る玉森くん。
今更だけど私より背が高いからここのスペースでは圧迫感もあって、ふわふわにセットされた髪から覗かせる真っ直ぐな視線に私は目を泳がせる。
「っ…、!!」
トンッと背中に当たった壁で完全に追い込まれた。
顔の横に突かれた肘。
またキスされると思ってギュッと瞼を閉じる。
「明日の帰り、楽しみに待ってるね?」
「…えっ」
「朝じゃなきゃいいんでしょ?」
耳元の囁きに完全にノックアウト。
ふふっ、て笑いながら洗面所を出て行く玉森くんをただ呆然と見つめる私。
……ダメだ。
すでに心臓が痛い。
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珠美(プロフ) - りょうこさん» りょうこさん≫コメントありがとうございます!励みになります(^^)これからも頑張りますので、よろしくお願い致します! (2021年7月5日 13時) (レス) id: 6cd37f4262 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。いつも楽しみにしています! (2021年7月5日 12時) (レス) id: c2325c836d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年6月30日 23時