空で出逢ったキミ。2

67. ページ17

.



お風呂から出てきた玉森くんはラフな部屋着でソファーに腰掛ける。



その瞬間に鼻を掠めたいい匂い。




私もシャンプーを拝借して思ったけど、すごく好きな匂い。




セットされてないふわふわな髪が若干目にかかってて、前髪の隙間から覗かせるその視線が妙に色っぽさを感じさせる。




知り合ったばかりの男性の家に一晩お世話になる。


こんな経験したことなくて、緊張で胸が痛くなる。








「ここ、境界線。
これ以上こっちに入ってこないで。」






距離感の確保、完了。



自分の身は自分で守るようにおばあちゃんから教わってきた。







「あ、そうだ。
家の鍵、明日の夕方には渡せるって。」






私がお風呂に入ってる間にお店のマスターと連絡取ってくれたみたいで、やっと明日家に帰れることに一安心。




……何かお礼しなきゃだよね。




マスターにも玉森くんにも。



何が好きなんだろう。





ペットボトルを飲みながらテレビを観て笑ってる玉森くんを横目に見る。




本当に顔が小さい。



ソファーの上で器用にあぐらをかいて小さく収まってるけど、Tシャツの袖から出た腕は筋肉質で男の人を感じさせる。




……って、私ってば何考えてんだろっ！////




そもそも、昨日今日知り合った女性を家に上げるって、ジャニーズ的にありなの？



もし私がファンだったら大問題になると思うけど。




私の警戒心に笑ってる玉森くんこそ全然警戒心ないじゃん。



こんなの彼女だったら不安で押し潰されて耐えられないと思う。



そもそも芸能人の彼女になる子ってこういうの許せちゃうのかな？





……んー。


やっぱり一般人の私には理解できない感覚。



.

68.→←66.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す