◇ ページ10
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みんなが気に入られようとしてるのは見ててわかる。
「ミツ、挨拶行くって」
ほらね。
案の定、俺らにも頭を下げる順番が回ってきて輪の中心へと向かった。
『廣瀬さん』
俺らのマネージャーの声に振り返ったドン。
近くで見ると、意外にも柔らかそうな表情に一瞬安堵する。
『ジャニーズ事務所から参りました』
『君たちは確か…「Kis-My-Ft2の皆さんです」
???
今の声……
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廣瀬という男の隣で俺らのグループ名を耳打ちした女性。
濃い紅色のロングドレスがよく似合ってて、お人形のような目鼻立ちがはっきりした顔立ちを際立たせるメイク、なんと言っても完璧すぎるプロポーション。
それだけで周囲の視線はきっと彼女に向けられてる。
俺もその中の一人で、全身に稲妻のような衝撃が走った。
『あぁーそうだった。
確か中居がプロデュースしてた…ーー
俺の意識は隣に立つ彼女に向けられたまま。
それ以降の話なんて一切頭に入ってこなかった。
ねえ。
Aだよね?
俺が見間違えるはずがない。
今日まで忘れたことなんてなかったから。
『これからも活躍を期待してるよ』
女性の名前を確認する間なんてもちろんなくて、次のタレントに話題を切り替えた廣瀬の横で会釈した彼女と一瞬だけ目が合った。
「…っ」
咄嗟に出てこなかった言葉。
俺らを前にあまりに淡々としてる彼女に、他人の空似なのかな?なんて考えたら彼女自身がAだっていう自信もなくなってきて。
普通は俺を見て少しは動揺したり、視線を泳がせたりするのかなって思ったのに。
すっかり赤の他人感満載で、あそこまで堂々とされると俺の見間違いなのかもって思うしかなかった。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年11月22日 12時