◇ ページ47
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「っ、Aちゃん…！！」
咄嗟に振り返って椅子から立ち上がると、驚きのあまりスマホが手の中からすり抜けて床に落ちた。
「藤ヶ谷さんにここに来るように言われて…」
「え？ガヤさんに？」
「でも、いない、よね？」
「ガヤさんならトイレに…」
ドアの方を指差して気付いた。
これは全てガヤさんが仕込んだに決まってる。
ホワイトデーということは隠して連絡してくれたんだ。
「あ、じゃあ外で待っ…「Aちゃん！！」
「っ、！？」
緊張のあまり大きくなった俺の声に目を見開いて驚いてる。
「あ、あの、これ…！」
焦って震える手でカバンの中から必死に取り出した小さな箱。
いつも持ち歩いてたから少し潰れてしまったリボン。
「…これは？」
「バレンタインデーのお礼に渡したくて」
俺の言葉にゆっくり差し出された手にそっと乗せた。
「チョコブラウニー美味しかったよ」
「宮田くん、」
「ありがとね」
ずっとファンだった。ずっと憧れてた。
だからこそAちゃんの幸せを心から願う、それがファンとして当然のことなんだよね。
「嘘なの」
「……」
「あの記事！
あの人とは普通の友達で何もないの！」
「え？」
「宮田くん、信じてたでしょ？
私が付き合ってるって…」
突然のことに頭が混乱する。
目の前のAちゃんの目がいつもより潤んでて、少しだけ強く発せられた言葉が震えてる。
「信じるよ、そりゃ…」
「……」
「だって、俺にはわからないから…！
Aちゃんのファンでも全てを知ってるわけじゃないし…」
「じゃあ知ってよ」
「え…？」
「私のこと、もっと知ってほしい」
これは夢？
今起きてるこの状況が理解できずにフリーズする。
「っ…Aちゃん…？？」
「私も知りたいの、宮田くんのこと」
それは、つまり、、？
「宮田くんのことす…「ま、ままま待って！！」
「っ、？！」
あっぶな…！
こういうのは男からって昔から決めてるんだよ。
「俺から言う」
「……うん」
告白とかいつぶりだろう。
こんなに心がくすぐったくて体が熱くなるもんだっけ。
俺の目を真っ直ぐ見つめるAちゃんの綺麗な瞳から視線を逸らさずに覚悟を決める。
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作者名：珠美 | 作成日時：2021年11月22日 12時
