◇ ページ14
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「口説くならさ、もっと雰囲気いいところにしてよね?」
Aの言葉と表情にすっかり俺の心は乱される。
浮ついた意識でいたらドンッと体に軽い衝撃を受けてよろけた。
…と同時に感じた腕の圧迫感。
「ねぇ、飲みに付き合ってよ」
俺の腕にしがみつくようにして引っつくAが上目に見つめてきて、胸の膨らみが俺の腕に食い込んで一気に過去の記憶が蘇った。
こんなに積極的で甘えるAは今まで見たことがなくて、どちらかといえば一方的な俺をいつも受け入れるだけだったのに。
「これで、ねっ?」と言いながら、さっき廣瀬さんから受け取ってた数枚の諭吉をチラつかせた。
「それ、さっきもらったやつじゃ…!」
「やだ、みっくん。そんなとこも見てたのー?」
「いや、だから…
「まぁいいや。ねっ、行こ?」
腕を引かれて半ば強引にタクシー乗り場に連れて行かれる。
身体だけの関係の頃のAの一面とはまた違う、俺の知らないAの感じに戸惑いつつも、本当は嬉しかったりー…
「同じお店でいい?」
「同じ?」
「赤坂の、前に行ったところ」
俺らが最後に会った店。
切なくて苦い思い出の所。
「うん、いいよ」
だけど、あそこなら本音で話せる気がした。
今回こそAのこと色々知りたいから。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年11月22日 12時