春夏秋冬2 (ページ7)

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さっきの気まずい空気が嘘みたいに、俺の前でお腹を抱えて笑ってるAちゃんを見ると、この先ずーっとメシ友でもいいと思ってしまう。

「あぁ〜可笑しい！！
その北山くん、私も会ってみたいなぁ！楽しそう！」

「会ったらきっと好きになられちゃうよ。Aちゃん、北山が好きそうなタイプだから！」

「え？本当に～？
それは困るなぁ…私には太輔くんがいるから」

「えっ…？」

「あ、ちょっとお手洗い行ってくるね！」

聞き返す間もなく席を立ったAちゃんが、たまたま近くを通った店員に案内されながらお手洗いに向かった。

〝私には太輔くんがいるから〟

顔には出さないけど、内心すっげー嬉しかった。

Aちゃんを待つ間、さっきテーブルに出したままにしてたAちゃんのスマホが何度か震えて、きっと誰かからのLINEを受信してるらしい。

「ごめんね、お待たせ」

「スマホ震えてたよ」

カバンにハンカチをしまうAちゃんが「誰だろ？」って言いながらスマホの画面を確認する。

その瞬間に眉間にシワを寄せて口元にギュッと力を込めた。

「…Aちゃん？」

「あ、ごめん…！何でもない！」

楽しい話題ではないことは容易に感じ取れて、

「えっと…何の話してたんだっけ？」

返信もせずにスマホをカバンにしまったAちゃんが無理して笑って見せた。

「…大丈夫？」

「うん…！」

「何か良くないこと…？」

俺が執拗に聞くから観念したのか、「もう、太輔くんには敵わないなぁ…」って言いながら一度カバンにしまったスマホを再び取り出した。

「これ、見てどう思う？」

差し出されたスマホの画面に映ってるのは真っ赤なドレス。

“ こんなのどう？(笑)”

メッセージの送信者は、巧見亮。

「赤のドレス？いいんじゃない？」

「そうじゃなくて」

「ーー？」

「私の元彼、婚約者とドレス見に行っててこういうの送りつけてくるの。無神経どころかバカだよね」

俺にスマホを渡したまま、俯いて無理して笑ってる。

確かに無神経だし、俺から言わせりゃ馬鹿野郎じゃ済まされない。デリカシーなさすぎだろ。

「こういう人なの、彼」

「……」

「ほんと…なんでこんな奴と付き合ってたんだろう…バカは私だよね。」

無理して笑ってるその姿に、気の利いた言葉ひとつ出てこない。

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