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いつだってベッドの上じゃAちゃんの方が優位に立ってる気がして、俺は完全に手のひらで転がされてる。
「太輔くん、体調は?大丈夫?」
「えっ、あ、うん。もう平気!
むしろAちゃん大丈夫?」
「ふふっ、太輔くんの風邪もらっちゃったりして」
「うわっ、だとしたらまじごめん…」
「もし風邪ひいたら看病に来てもらうからいいよ」
「え?」
「…もちろん太輔くんにね?」
「お願いだから放置しないでよー?」なんて言いながら俺の鼻先を突いた。
こんなあざといことして許されるなんて、やっぱり生まれ持った天性だ。
「えっ、あっ!それ、俺のシャツ…」
「ちょっと貸して?
太輔くんは病み上がりなんだし、まだ寝てていいよ」
ベッドからスッと細くて長い脚が降りたと同時に、床に落ちた俺のシャツを拾い上げて秒で腕を通した。
「ご飯作るね?」
シャツ一枚だけを身にまとって、生足でペタペタと部屋を出ていくAちゃんを目で追う。
その姿は男なら誰もが憧れるドストライクなやつで、昨晩の可愛く鳴く彼女を思い出して一人勝手に悶々としてる。
あぁー、
彼女にとって俺って何なんだろ?
やっぱり、やるだけの関係?
その答えをきちんと出すべきなのか迷うし、そこで答えを出して二度と会えなくなったらそれはそれで辛すぎるし。
…って、こんな女子向けの歌詞ありそうだよな。
玉が言ってた通りだ。
普通、悩む立場逆じゃない?って。
上に着るシャツがないから、ベッドから降りて下だけ履くとベッドに腰掛けた。
ふと見ると、枕元に無造作に置かれた開封済の小さな四角いビニール。
完全に昨日の捨て忘れだ。
手に取ると、ティッシュで埋め尽くされた足元のゴミ箱に落とし入れた。
「やだ、そんなところジッと見てどうしたの?」
急に部屋を覗きこんだAちゃん。
「え?あっ…いや、捨て忘れてたから…」
避妊具のくだりを改めて説明するなんて無性に恥ずかしくなって、中学生でもないのに顔が熱くなる。
「ふふっ。
後でティッシュ買いに行かなきゃかなぁー」
独り言のように呟いて、
続けて「コーヒーでいい?」って顔だけ見せて首を傾げてる。
そんな仕草もたまらなく悔しいほど可愛くて。
やっぱり俺…
Aちゃんには敵わないわ。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時