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「サヤカ…今日は帰ってくんない?」
「なんで?」
「いいから!」
握ってたスマホの画面でAちゃんの名前を探しながらサヤカに強く当たった俺。
そんな焦り具合にサヤカの女の勘が働いた。
「…そういうこと。あの子が……」
「だからあれは幼馴染で…「わかった、今日は帰るね」
怖いくらいに聞き分けのいいサヤカ。
「その代わり、鍵は返さないから」
もう今の俺にとってそんなことはどうでも良かった。
鍵は後からどうにでもなる話で、Aちゃんの誤解を解くために俺には時間がない。
とにかく電話しなきゃ。
今ならまだ遠くには行ってないはず。
無我夢中で追いかけたい気持ちを抑えて、今はスマホに頼るしかなかった。
「っ…出ない……!」
‥‥‥
出ない
出ない
出ない
‥‥‥
「あぁー!!もうっ!!!」
何度かけても応答のない電話。
” 今どこにいる?話したい “
これもきっと既読にならないのにLINEだけを送って、自分の気持ちを一方的にぶつけて焦ってる。
家に入ってからも落ち着いて座ることもなくて、不安と焦りと心配と苛立ちが俺の頭の大半を占めてて、今は色んな感情が剥き出しになってる。
いつも冷静で感情を表に出さないタイプだと言われるけど、Aちゃんのことになるとそうじゃなくなるらしい。
すぐに茜にも連絡してみたけど、もちろん連絡つかなくて。
……あぁー踏んだり蹴ったりのこの状況。
2人から完全に嫌われた俺に弁解の余地すら与えられなかった。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時