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ソッとゆっくりベッドに下ろすと「んっ…」て寝返りをうちながら声を洩らしたその仕草がやたらと色っぽくて、頭に浮かんだ煩悩を掻き消そうと奥歯を噛み締めた。
ふわっと広がったスカートから伸びた細くて綺麗な脚。
パーマのかかった柔らかい髪から覗かせる寝顔。
これ以上は見てしまわないように、足元で畳まれてたタオルケットを肩までソッと掛けると、ピクッと体が震えてゆっくり目を開けて俺を見た。
「…太輔くん…っ、」
「大丈夫?飲みすぎた?」
「ごめん…私寝ちゃって…、」
咄嗟に起き上がろうとしたAちゃんの肩を優しく押さえて、そのまま横になってるように促した。
「やっぱり赤ワイン、ダメみたい…」
弱々しく笑う彼女を見てると、体調の悪い時ってこんな感じなのかなぁ…なんて想像しちゃって、看病してる彼氏のような気分を一方的に抱いてる俺がいる。
そんな妄想してることは口が裂けても言えないけど…。
「正直言うと俺もあんまり得意じゃないんだ」
「そうなの?じゃぁどうして…、」
「ワイン飲めるなんてカッコいいって言われたらついね。本音を言えなかった…(笑)」
恥ずかしさで失笑する俺を見て微笑んでくれたAちゃんの優しい笑顔。
床にあぐらをかいて座る俺と合う視線の高さがちょうどよくて、さっきよりも心の距離が縮まったような錯覚を覚えた。
「やっぱり太輔くん優しいね」
「…そう?」
「元カノさん、辛くないかな…?」
「……」
「優しくされると余計忘れられなくなっちゃうものだよ」
その言葉はAちゃん自身を表してるのが伝わってきた。
「ごめんね、急にこんなこと言って」って無理して笑ってる。
「Aちゃんも忘れられない?」
俺の小さな呟きに、見る見るうちに潤んできたAちゃんの瞳。
誰とでも寝られる子って茜から聞いて、それを軽蔑する人が大半かもしれないけど。
確かにどんな男性も落とせるほどの魅力があって、それにまんまと引っかかった俺がここにいて。
そんな彼女を小悪魔だと後ろ指差す人がいるかもしれないけど、でも今俺の目の前にいる彼女は、一人の男性を深く愛して、純粋に心の底から相手を想える人だと確信した。
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珠美(プロフ) - 美月さん» 美月さん*この作品も読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)こういう小悪魔女子に憧れて書いてみました!コメントいただけて嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします! (2021年9月6日 7時) (レス) id: dad748ef2d (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 珠美さん、こんばんは(^^)こちらの作品も拝見させていただきました!!藤ヶ谷さんを翻弄してしまう主人公ちゃん、やりますねー(笑)こちらの展開もとっても楽しみです!どの作品も本当に素晴らしい!!方々にコメント失礼いたしました<(_ _)> (2021年9月5日 22時) (レス) id: 0eb5a1c4e3 (このIDを非表示/違反報告)
珠美(プロフ) - ぺこさん» ご指摘ありがとうございます!!!本当ですね…!致命的なミスをしてました(T_T)失礼しました。すぐに訂正いたします! (2021年8月27日 14時) (レス) id: dad748ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ぺこ(プロフ) - 太ちゃんじゃないですか? (2021年8月27日 13時) (レス) id: 9baa58e5fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年8月26日 9時