一途な想い_Ki ページ4
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はあ、今日も空振り。
なんでこんなにも届かないんだろう。
「あのさ、聞いてる？」
「ええ、聞いてますよ」
俺が話しかけても振り向きもしないでスタジオの片付けをしてるAちゃん。
「なんで俺と目合わせてくれないの？」
「仕事中なんです」
「それ今しないとダメ？」
一応俺より年下のはずなのに、完全に俺の方が幼稚な構ってちゃん。
「じゃあこれ持っててください」
「っわ、重っ」
中身の分からない段ボールを持たされる。
なんだよ、この重さ。何が入ってんだよ。
「よし、出来た！
北山さん、それもらいますね」
「え、重いよ？！」
「いいから渡してください」
俺ですらよろけた重い箱をヒョイっと軽々しく持って空けたスペースに置く。
「この仕事大変じゃない？」
「もう慣れましたよ。
邪魔してくるタレントさんの相手まで出来ますから」
邪魔してくるって、間違いなく今の俺のことだ。
こんな大荷物持ってる時に話しかけられたら目も合わせられないか…。
「邪魔してごめん」
「ふふっ、意外と素直なんですね。
次からは邪魔しちゃダメですよ？」
今度はしっかりと目を合わせて俺に微笑んでくれた。
この笑顔が好きで毎日のように話しかけてるのにな。
別に彼女は意地悪でしてるわけじゃないのに、勝手にこっちの都合で話しかけて勝手に不機嫌なってしまった俺、ダサすぎる。
「それでさっきの話なんですけど、」
「！」
「お断りしますね」
「なんで！？」
思わず大きい声が出てしまった。
「なんでって、」
「俺とご飯に行くの、そんなに嫌？」
ただAちゃんと二人で食事に行きたいから誘っただけなのに。
「みんなで、ならいいですよ？」
「なんで？二人は？」
「…ダメです、北山さんとは」
まさか食事すら一緒に行ってもらえないなんて…
崩れそうな足を必死に踏ん張って体を支えた。
嫌われてるわけじゃない、はず。
それでもこんなにもしっかりと距離を取られてる。
…そうか、つまりただ単純に俺はタイプじゃないのか。
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作者名：珠美 | 作成日時：2023年4月18日 12時
