女友達からの…_S ページ24
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《もしもし、千ちゃん？》
昔からの地元の友達で、彼女が仕事で上京してきてからは何かと面倒見てあげたりして、マメに連絡とってはご飯に行く仲。
気心知れた女友達であり親友と言っても過言ではない。
「どうしたの？こんな時間に電話なんて珍しい」
《今、桜さんのところで飲んでるんだけどね、》
「ええー誘ってよ」
桜さんは俺らの行きつけのバーのマスター。
《一人で飲みたい気分だったの》
「それもまた珍しいね」
《それでね、飲んでたらさ、隣の人と仲良くなって、》
アルコールが入って気分が良くなると会話に句読点がやたら多くなるのがAの特徴。
今までそれはそれで可愛いと思ってたけど、普段から同じことされたら間合い長くて話が進まず聞いてられないかも…なんて思ったこともある。
《そしたら桜さんが、千ちゃんの知り合いだよ〜って》
「え、誰？」
《ワタナベさん、って人》
酔っ払ったノリでかかってきたダル絡みのしょうもない話かと思って油断してたら、急に天然バブい奴の名前が出てきて心臓がグンッとなる。
「っ、え！ちょっと待って！隣に座ってないよな？！」
《カウンターだから隣だけど…》
「あぁーダメダメ！それはマズすぎる！」
愛嬌があって、人の懐に入るのが上手くて、冗談とか多少の悪ノリにも対応できて、顔も万人受けする、つまりは凄く可愛い。
そこらの男だって放っとかないのに、今まさに波に乗ってる渡辺翔太なんかに会わせたら危険すぎる。
コツコツ信頼関係を積み上げて過保護なほどに大事にしてきた子を、売れに売れてるイケメンに見つかったら一発アウトになる可能性が大いにある。
「それでね、そのワタナベさんが潰れちゃって起きないのよ、相当お酒弱いみたいでさ〜、助けに来てよ千ちゃん」
「言われなくても向かってるわ」
「え、嘘！早っ」
「席一つ空けて座って待ってて！」
じゃあ待ってるね〜なんて呑気な声が聞こえてきて、若干イラつきながら流れのタクシーを停めて乗り込む。
なんでアイツが今日あの店で飲んでるんだよ…。
元は俺の行きつけで確かに事務所の奴らを連れて行くことはあったけど、まさか一人で行くほど常連になってたとは。
そしてAと鉢合わせるなんて危険すぎる偶然だ。
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作者名：珠美 | 作成日時：2023年4月18日 12時
