◇ ページ46
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「宏光ごめんね、お疲れ様」
「寝ちゃうと静かで寂しいね(笑)」
どうにか仲良くなろうとスマホでYouTubeを見せたりゲームしたり色々と試した結果、保存してた写真に興味を持って「これ誰〜？」と質問責めにあいながら順番にスクロールしてたら俺の膝の上で寝てしまった。
「せっかくの休みなのに本当にありがとう」
「いいよ、俺にも懐いてくれたし」
子供は天使だと言うけど、本当にその通りでこの寝顔を見てると何にも代えがたい幸せな気持ちになる。
「ねえ、宏光」
「ん？」
「今からでも桜見に行こっか」
「え？」
「もうすぐ迎えも来るし、その後でも」
夜はライトアップされた桜
それはそれで綺麗なんだろうな。
それからしばらくしてAから何度か話には聞いたことがあった弟くん夫婦と初めましての対面をして、俺の顔を見るなり二度見して固まってた。
『姉ちゃんの彼氏って、え？なんで、？』
「その話はまた今度でいいから…！」
『おじちゃん、またね〜！』
「お兄さん、な！」
ゆうたくんの頭をわしゃわしゃ撫でると無邪気に笑ってる。
そんなやり取りを見て、聞きたいこと、話したいことが山程ありそうな夫婦二人を追い払うように帰したAが玄関を閉めるなり安心しきったように大きな溜め息を吐く。
そしてすぐに準備をして予定通りに花見へと向かった。
「もうこんなに咲いてたんだねぇ、綺麗」
人はそれなりにいてもみんな桜を見上げて写真を撮ることに夢中になってるからか、いつもよりは恋人らしく距離を縮めて歩けた。
「なぁA」
「ん？」
「いやぁさ、」
「なに、どうしたの？」
今日あったことを思い返しながら桜を見つめる。
「俺らにもいつか子供できたらいいよな」
そんな俺の言葉に照れ笑いを浮かべながらも「うんっ」と深く頷いたAの手を握り締めた。
いつか本当にそんな日が来たら__
なんて俺とAが繋いだ手の間にいる小さな姿を想像したら嬉しくなって自然と口角が上がった。
Fin...
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作者名：珠美 | 作成日時：2023年1月27日 9時
