◇ ページ4
.
前に彼氏のこと好きなのか聞いたら「分からない」って言ってた。10年も付き合ってると今さら他の人と恋愛できないって。
でもこんな状況でも彼女を放っておく彼氏なんかもうやめればいいのにってつくづく思う。
「つらかったね」
頭を撫でると、またグスッ…と泣き出した。
なんで、なんで、なんで、
Aをこんなに泣かせるわけ。
近くにいる俺は、どうしてAを助けてあげられないんだろう。
「…これ以上放っておけない」
抱き寄せたら、ここで触れたら、理性が崩れるのは分かってた。
自分の気持ちを止められるわけないって分かってた。
でも、これ以上Aの苦しむ姿を見てられなかった。
抵抗しないのをいいことに、ゆっくりと引き寄せながら唇を重ねた。
「んっ、」
初めて耳にするAの甘い声。
俺の行為への返答だと思うと嬉しくて更に止められなくなった。
「A…、」
全てが愛おしくて後先なんか考えてなかった。
�犲蕕蠅燭き�
ただその一心で、俺の中で甘く鳴くAを包み込むようにして一晩中愛し続けた。
◆
◆
◆
「…ごめん、こんな勝手なことして、」
肌に直接触れた寝具の感覚に事の重大さに気付いた。
「Aの気持ちが俺にないのは分かってるのに俺一方的に、本当ごめん。でも好きなんだ、Aのこと。もう傷つくところは見たくない」
こんなことした後に告白するなんて、順番違いもいいとこだよな。
もう二度と頼ってくれなくなるのかな__
�狢世舛磴鶚瓩辰栃蕕辰討�れなくなるのかな__
自分の行為を思い出して急に怖くなる。
「太ちゃん、」
「！！」
ぴたっと体をくっつけて伝わってきた体温。
「私ね、彼氏に別れようって言ったの」
「え？」
「他に好きな人が出来たって。
そしたら彼が凄い怒っちゃって…」
「いや、じゃあ余計にこんなところにいたらダメじゃん！
俺なんかとこんなこと…ほんとごめん…！」
「違う、ここがいいの。
太ちゃんの側にいさせて欲しい」
「え？」
「太ちゃんが好きなの」
久しぶりに見た、照れながらも笑ったAの顔。
「…本当に？」
「うん、このままここにいてもいい？」
「もちろん！帰すわけないじゃん！」
気持ちを聞いた途端に強気になる俺は都合いいよなぁ、なんて思いながらもAを力強く抱きしめた。
これからは俺が守るから__
一緒にたくさん笑って過ごそう。
Fin...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：珠美 | 作成日時：2023年1月27日 9時
