本命は？_S ページ29
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宮田はいつも仕事が終わるとすぐに帰る。
スタッフさんたちやメンバーたちと和気あいあいと話してたとしても、アニメやら漫画が待ってるとか言って一番に楽屋から姿を消す。
まぁ理由は何でもいいけど、たまに先輩がいてもお構いなしに同じことするから内心ヒヤヒヤしてる俺。
…だけど今日は珍しく残ってる。
しかもさっきから俺の行動を見張ってるかのように後ろを付いて歩いてきて「なに？どうしたの？」と聞けば深妙な面持ちで俺を見る。
何かあったのかな、なんて心配したけどそんなものは杞憂だった。
「千ちゃん、今日予定ある？」
「いや、帰るだけ」
「飲みに行かない？」
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珍しい宮田からの誘いに感が働いて、これは普通じゃないとなんとなく引っかかる言い方に首を傾げる。
うんともすんとも言わない俺に宮田が続けた。
「ちょっと付き合ってほしいんだけど、2対2で」
「え？相手いるの？誰？」
「ちょっと、まぁ…」
「なに？状況が全く読めないんだけど」
お願いする立場の割には詳細を明かさない宮田にちょっと苛立ちを感じながらも、ここでは話しにくいのかなって機転を利かせて廊下に出た。
「合コンっていうか、」
「それはダメでしょ」
「いや、飲み会！ただの飲み会！」
「今さら誤魔化しても遅いって」
「いや、千ちゃんお願い…！
なんとか来てくれない？こんなこと千ちゃんにしか頼めないんだって…！」
手を合わせて俺に頭を下げる宮田。
頼られるのは嬉しいけど今回は内容が内容だけに快く了承できない。
「お願い！すっごく可愛くていいなって思ってた子をやっと知り合いが呼んでくれて、」
「無理だって、隣で宮田が必死に口説いてるのなんて見たくないし」
「ええーそんなー」
「そういや玉も今日予定ないって言ってたよ」
「自分よりイケメンを連れて行くわけないにはいかないって」
「いやいや、それ俺に失礼じゃね？」
なかなか食い下がらない宮田に今回のセッティングがどれほど重要なものなのかひしひしと伝わってきた。
「…今回だけだからな」
「さっすが千ちゃん！ありがとー！」
渋々参加することにすると、わざとらしく肩を揉んでくる宮田を適当にあしらった。
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作者名：珠美 | 作成日時：2023年1月27日 9時
