プレゼント_M ページ22
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「女の子のプレゼントって何が欲しいもん？」
「ドライフラワー以外じゃないですか？」
宮田さんはプレゼントとなるとドライフラワーを贈ってくれる。
誰に吹き込まれたのか知らないけど、それもバカの一つ覚えのように何度も何度も。
私の誕生日にもツアーの差し入れのお礼も、それ一択で攻めてくるって何なんだろう。
「ドライフラワーってダメなの？」
「そろそろ情報更新した方がいいですよ」
初めは嬉しかった。
裏方の私がタレントさんからプレゼントしてもらえることなんて滅多にあることじゃないし、それもドライフラワーなんてセンスいいなってちょっとトキメイたりもした。
予想外なプレゼントに大袈裟に喜んだことに味を占めたのか、事あるごとにドライフラワーを贈ってくれるようになってからは正直困惑してる。
「更新？どうやって？」
「ネットがあるじゃないですか。
それにセンス良い人たちが周りにいらっしゃるんだから聞いてみるとか」
「んー…、」
何を不貞腐れてるんだろう。
眉を下げて唇突き出して伏し目がちに黙ってしまった。
「そもそもプレゼントっていうのは相手のことを想って選ぶものですよ？流行りも大事ですけど相手の好きなものとかリサーチしないと」
「それが分からないんだって」
「思い切って本人に聞いてみたらどうですか？」
宮田さんはテレビの中と実物にほとんど差はなくて、裏方のスタッフみんなに分け隔てなく本当に優しい。
ニュース担当から異動してきたばかりで右も左も分からず必死だった私にも打ち解けやすく声をかけてくれた。
いつも朗らかな宮田さんは、男らしいというよりも癒し系だよね、なんて女性スタッフからも言われるほど異性感が無いというか。だからこそ気を張らずに会話も出来るんだけど。
「じゃあ私は戻りますね」
ドライフラワーの一択だった宮田さんが今回は踏み止まってプレゼントを考える相手って誰なんだろう__
彼女がいても不思議じゃないし、もしかしてバレンタインで誰かに告白されたとか？
そんな考えたところで答えの出ない自問自答を繰り返してるうちに心の中がモヤモヤし始めた。
「お疲れ」
「あ、藤ヶ谷さん、お疲れ様です」
急に後ろから声をかけられて振り向けば眩しいオーラ炸裂の藤ヶ谷さんが立ってた。こちらは男らしさがプンプンしてる。
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作者名：珠美 | 作成日時：2023年1月27日 9時
