キミが好き。4 (ページ3)

今日:18 hit、昨日:7 hit、合計:17,994 hit

守りたい_F ページ3

.

〈もしもし…〉

「どうした？」

スマホ越しに聞こえてきた言葉に交ざる鼻をすする声。

それを合図に脱いだばかりのジャケットを再び羽織る。

「いつものとこ？」

〈太ちゃん…ごめん…〉

「すぐ行く、そこで待ってて」

車に乗り込むとAの待つ場所へとすぐに向かった。

「また怒らせちゃったみたい…」

人のいない暗闇で立ち尽くすAが涙目で俺を見上げる。
もうこれで何回目だろう。

「大丈夫？…なわけないよね」

同棲してる彼氏とケンカしては家を飛び出すAをなんとかしてやりたいと思う気持ちはいつの間にか愛情へと変わってた。

擦るように隠す肘を見て心が痛む。

「赤くなってる…とりあえず乗って」

見えない彼氏から救い出すようにAを車に乗せた。

連絡を受けたらいつも家に連れて帰る。

俺以外の誰かに頼らないように、Aがこうやって呼ぶのは俺だけであってくれと願いながら。

暴力じゃない、力加減が分からないだけ、そうAは言う。

例えそうだとしても、好きな人をこんな風に傷つけることは同じ男として許せない。

「太ちゃん…ごめんね…いつもいつも…」

ソファに遠慮がちに座るAの前に紅茶を置く。

Aの好きなやつ、切らさないようにいつも買い足してる。

「見せてみ」

「やっ…、」

「痛いんでしょ？」

力が入らないのか、抵抗する気がないのか、患部を隠す手をすぐに退かした。

.