おみくじ_M ページ15
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「ねねね、A！見て！」
玄関が開く音がしたかと思えば「ただいま」の一言も無しに、嬉しそうに駆け寄ってきて小さな紙を差し出された。
「ん？なにこれ？」
料理の手を止めてその紙を見ると�爐�みくじ�瓩諒源�。
「恋みくじだよ！ほら見て！大吉！」
「へぇ〜良かったじゃん！」
そんなことでいちいち喜ぶ歳でもないのに…と思いながらも、そういえばこの人はそういう人だったと思い返して笑みが溢れる。
「見た？」
「うん、見たよ？」
「今の人と一緒になるのがいいって」
へぇーそんなこと書いてあったんだ。
一言一句までちゃんと見てなかった。
「ふーん、そうなんだ」
「え、ちょっと、そっけなくない？！」
なんだよもう…なんて言いながら少し拗ねて服を着替えに行った俊哉を横目に見て口元の緩みが止まらない。
小さなことでも喜んだり落ち込んだり、俊哉は気持ちを正直に表現してくれる。
そんな人柄を好きになった私は俊哉との未来は出来るだけ想像しないようにしてきた。
そうでもしないと、何かあった時にダメージが大きすぎるから。
ただ私が自信の無い臆病なだけなんだけど、、
テーブルに料理を並べてる時に部屋着に着替えた俊哉がリビングに戻ってきた。
「美味しそう！
俺ちょうど今日しょうが焼き食べたくってさ！やっぱ俺ら気が合うねぇ〜」
ニコニコしながら椅子に腰掛けて用意したコップ2つに麦茶を入れてくれる気遣い。
こんな毎日がずっと続けばそれはそれは幸せなことだなって染み染み思う。
「あのさ、」
「ん？」
「…あーいいや、何でもない、！」
自分から声かけておきながら笑って誤魔化すから歯切れが悪い。
「いただきます！」
律儀に手を合わせるところも、お行儀よく三角食べするところも、全部全部俊哉の好きなところ。
ご飯を口に運びながらチラッと見ると、同じようにこっちを見た俊也と目が合った。
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作者名：珠美 | 作成日時：2023年1月27日 9時
