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しばらくしてまた俺らの前に戻ってきたAさん。
「…失礼します。
お食事はキャンセルということで事前にお伺いしております。
お飲み物だけでもご用意しますが、いかがいたしますか？」
前に開いて出されたメニュー。
「玉森様から見て左側がアルコールを含むもの、右側はノンアルコールでご用意しております。」
ふいに名前を呼ばれてドキッとする。
メニューを持つ指先が綺麗で、手入れの行き届いたネイルの色も彼女のイメージに合っていた。
「……っ、大丈夫です。」
しばらく考えたけど、全然頭が回らなくて、指先ばかりに視線がいってしまって、つい遠慮がちに断ってしまった。
「ペットボトルのお水もご用意しておりますが、お持ちしますか？」
「…あぁー、大丈夫です‥…」
「かしこまりました。
宮田様はいかがいたしますか？」
目が合わせられない。
すっげー緊張する。
「んー。あ、俺、これ！
ミツが飲んで美味しかったって言ってたやつ。」
「こだわりドリンクですね。
かしこまりました。」
Aさんが会釈して背を向けた時、俺は顔を上げて後ろ姿だけを見る。
今気付いた。
…足も細い。
藤「飲み物何にした？」
宮「俺、ミツが飲んでたこだわりドリンクってやつ！」
藤「…玉は？」
ガヤさんの問いかけに人差し指で作ったばってんを顔の前に見せて伝える。
その時、ガヤさんのところにAさんが来た。
藤「俺も宮田と同じやつで。」
「こだわりドリンクですね。
他にもご用意ありますが、一緒にお持ちしますか？」
メニューを見る前に答えたガヤさんにも丁寧にメニューを見せてる。
何なの、この気遣い。
これって教育されてるの？
藤「…じゃあ、コーヒーも一緒に。」
「お砂糖とクリームはお入れしますか？」
藤「いえ、ブラックで。」
出た、ガヤさんスマイル……
さすが大人の対応。尊敬する。
「かしこまりました。
後ほど、ご用意いたします。」
……おい、宮田。
目がハートになってる。
そんな姿にガヤさんも気付いて笑ってる。
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作者名：珠美 | 作成日時：2021年6月18日 8時
