愛され家政婦の日常２ (ページ7)

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第55話ページ7

マシホさんは昨日のように静かに床を見つめていた。その雰囲気は何となく切なげで空気を変えたくなった。何よりもお礼を伝えたくて、少しだけ大袈裟な明るい声でマシホさんに声をかける

なお『あっそうだ！マシホさんの言葉のおかげです。
昨日マシホさんが私の好きなことをしたらいいって、それだけでハッピーだって言ってくれたじゃないですか♪』

そう言うと、マシホさんはえっ？て驚いた顔をした。

なお『言霊です。本当にそうなりました。
昨日から…今朝になってもモヤモヤしてて…心の中がちょっと…悲しかったんです。だから、好きなことだけしようって思って大好きなものに触れたら本当にハッピーになりました。ありがとうございます！』

ms『悲しかったって…何かあったん？』

それは…言いたかったわけじゃなくて…
でも悲しかったなんて言葉を口にした時点で本心では言いたいって思ってたんだ…。

今…聞いてしまおうか…

なお『………マシホさん。』

ms『ん？』

横に並んで座るマシホさんに向き合い…そして今、聞いてしまうことにした。
いざ言葉にしようとすると、目を見ることが怖くなり少し目線を下げてから言葉を続ける。

なお『…………どうして………

…ヌナって……呼ぶんですか…』

やっぱり…これが一番悲しかったんだ。言葉にして分かった。だって今私…泣いてしまいそうだもん。

ms『えっ嫌…だった？』
そう優しく聞いてくれるので本音が溢れ出る。

なお『みんなの前では嫌じゃないです。でも…2人でいる時はなおって呼ぶって、、、マシホさんが言いました……』

ダメだ…もう涙が流れてしまうかも、、、

ms『……それが悲しかったん？だから…今も泣きそうなん？俺がなお…って呼ばんくなったから…』

そう聞かれたら自分の感情を再確認してしまい…もう涙が止まらなくなった。
今の話の流れでなおと言われただけで嬉しいと思ってしまうほど…寂しく悲しかったんだ…

ms『今も…呼んでほしいん？』
マシホさんは私の目元に手を伸ばしそっと涙を拭いてくれた。

私の悲しみの原因がマシホさんで、それを自分が泣いたことでマシホさんに知られてしまった恥ずかしさと、止まらない涙を隠すように両手で顔を覆いながら、でも確実に伝わるようにゆっくりと頷いた。

ms『……なお…』