愛され家政婦の日常２ (ページ38)

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第86話ページ38

なお『はぁ………。帰りたい……。』

hr『何で……ですか？』

え？ポツリとまた声に出してしまった独り言を聞いたハルトくんが声を掛けてきた。休憩に入ったようだ。

hr『何で帰りたいん。…ですか？』

なお『ハルトくん…日本語では敬語要らないよ、話しずらそう。韓国語ではとてもに丁寧に話すのにね。』

hr『ありがとう…ございます。』

なお『ふふw』

hr『何で帰りたいん？』

ハルトくんと、このトーンで話をするのは初めてかもしれない。いつもお互いどこかふざけてるから。

なお『ここには…やれることがないから。
でも宿舎にはみんなが留守でもたくさんやれる事があるの…』

hr『ヌナ見て、俺さっき指切った。包丁使ったけん…』

なお『え?!大丈夫？見せて、痛い？』

hr『うん大丈夫。もう大丈夫になった。』

確かに、見るともう血は出てないみたい。痛くないなら良いんだけど…。

hr『ヌナの存在価値ってマジ半端ねーと思う。治癒力…？違うか…なんや分からんけどそんな感じの…』

ハルトくんはとても落ち着いた優しい声で言葉を紡ぐ…いつものハルトくんと違ってとても大人で少し戸惑う。

hr『ジョンファナがヌナのこと心配やって言ったけん強引に連れてきた感じやけど…勿論心配してたと思うけど。

半分はジョンファナがいたかったんやと思うよ、ヌナと。口実？ヌナといたいから口実w』

え？私といたいから…そんな風に思ってくれてるの？

hr『みんなそう。誰もジョンファナに我がまま言うな〜とか言わんかったやん。ヒョン達も。……みんなヌナといたいから。

ヌナはいるだけで良いんよ。』

なお『…そんな風に言わないで…』

hr『なんで？』

なお『だって…』

ハルトくんからこんな話をしてもらえるなんて…いつものジト目さんはどこに行ったの？今のハルトくんは、すごく大人で、優しくて…頼もしい。
本当はこういう子なのかな。

hr『なぁ。……二人ん時だけさ…。

……なおって呼びたい。』

え!?

…どうしよう…。

年上だからとか年下だからとかじゃなくて…ハルトくんがこんなことを言うなんて、想像もしていなかったから…どう答えたらいいのか分からない…。

hr『…なお』

なお『////』

hr『黙っとるけんもう呼んだったわ。』

隣からいつもみたいなトーンでそう言って、前を向いたままこっそりと私の手を握るハルトくんに驚いてそちらを見ると、ハルトくんは赤い顔して『前向いとって//』と言った。