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「あっ、僕取り分けますって!」
「いいよ、私やるから」
「いや、そういうわけには…」
「いいから」
「でも…」
「…ん?」
「……すみません、お願いします」
やっぱり、二階堂くんはすごい。男の子なのに、気遣いのレベルがまるで女子。
例えば、私が見やすいように、二階堂くんから見て逆向きでメニュー表を置いてくれたり。私がメニューを見ている内に、取り皿をさっと出してくれたり。
注文する時、店員さんとのやり取りは全部二階堂くんだった。だけど、勝手にあれこれ頼むわけじゃなくて。「シェアする感じで大丈夫ですか?」とか、「じゃあ、これとこれならどっちがいいですか?」とか、ちゃんと聞いてくれた。
それに、今だって。運ばれてきたサラダを取り分けようとしたら、慌てたようにトングを奪おうとしてきた。
"そつがない" とは、まさにこのこと。それでいてやりすぎな感じはしないから、こっちはこっちで過ごしやすい。
「……うわ、」
「…ん?」
静かな部屋に、ぽつりと響いた二階堂くんの声。どうしたのかと思って視線を向ければ、どうやら思わず呟いただけで、私に向けたものではなかったらしい。
「あ、いや…これ、すげぇ美味いなって……なんだろ、レンコンじゃなくて…」
辿々しく、独り言のように ぼそぼそと話す二階堂くん。
「…ゴボウ?」
「あっ、それだ!……あ、」
「……」
「…すみません、」
・・・可愛い。耳が赤くなってる。
今みたいなテンションでも、全然構わないんだけどな。気遣ってくれるのはもちろん嬉しいけど、今は仕事じゃないし。もうちょっと、気を緩めてくれてもいいのに。
それに今時、お酒の場でなら、ちょっとくらいの無礼講は許される時代でしょ。なのに二階堂くんは、会社を出た時からずっと畏まったまま。なんか、モヤモヤするというか。すごく、距離を感じる。
「…あのさ、」
「っ、はい!」
「……緊張してる?」
「え…っ、いや…」
「ていうか、やっぱり気まずいよね。私達、仕事でもほとんど話したことないし……二階堂くんからしたら、なんで誘われたんだろって感じだよね…」
「……いや、」
「……」
「…まぁ、正直、なんで俺?とは思いました。全然嫌とかではないですけど」
「……」
「……」
「……別に、深い意味はないけど…」
「…ですよね、」
そう言ってから、視線をテーブルへと伏せる二階堂くん。ちょっとだけ悲しそうに見えたけど、多分気のせいだと思う。
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nanaco(プロフ) - 桃マスカットさん» こんばんは( *´艸`)💚(絵文字使えるようになったことを忘れてた←) ですよね、後輩二階堂くんめちゃ可愛いですよね…😭✨コメントありがとうございました ( *´꒳`*) (2021年12月22日 23時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
桃マスカット(プロフ) - 今回の後輩二階堂くんもめっちゃ可愛かったですー💚こんな後輩に懐かれたいです(*≧艸≦) (2021年12月22日 14時) (レス) id: 21ddaf22cf (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - ばーばぱぱさん» ばーばぱぱさん、コメントありがとうございます♪ そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2021年9月18日 9時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
ばーばぱぱ - なんか、、、 癒されるううう(♭・~・) (2021年9月16日 16時) (レス) id: c74ffed917 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - nokkoさん» nokkoさん、初コメありがとうございます♪ えぇっ、泣かせてしまってすみません(;;)笑 そうなんです…最初はくっつけるつもりだったんですが、気付いたらこのような結末に…番組とは違いハピエンにしたかったのに、結局こうなりました (;_;) いい男ですね…高嗣くん… (2021年8月29日 11時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2021年7月1日 19時