＊ ページ31
.
静かなオフィスに、カタカタとキーボードを打つ音と、時折溜息が響く。1時間くらい前までは、私と二階堂くんを含めて5、6人くらい残ってたけど、気付いたら、私達以外の皆は帰った後だった。
打ち込んだデータを上書き保存して、電源を切ってから、ふと窓の外を見る。
･･･暗いな。オフィス街だから、辛うじてまだ明るいけど、すっかり夜だ。
椅子に座ったまま、ぐーっと伸びをする。あー･･･肩ばっきばき。マッサージ行きたい。一時しのぎでいいから、凝り固まった部分を揉みほぐしてもらいたい。
「……」
明日は休みだし、たまには、ぱあっと飲みに行きたいな。家に帰っても、今日は特に観たいテレビもないし、自炊するにしても食材の買い置きがない。それに、最近はずっと仕事仕事で、ろくに息抜きも出来てない。そろそろストレス発散しないと･･･
そこまで考えて、ふと思う。別に1人でご飯とか全然行けちゃうタイプなんだけど、今日はそういう気分じゃない。出来れば、誰かと話しながら楽しく飲みたい。
「ねぇ、飲みに行かない？」
「…え？」
荷物を持って、向かったのは入口じゃなくて二階堂くんのデスク。「お疲れ様です」って言われたのとほぼ同時に言えば、二階堂くんは目を丸くして驚いてる。
･･･まぁ、驚かれるのも無理はない。だって二階堂くんとは、正直全くと言っていいほど接点がないんだもん。何度か仕事を教えたことはある。でも、それ以外は挨拶だけ。会話という会話をしたことがない。
何も考えずに誘っちゃったけど、よく考えたら、大して仲良くない先輩と飲みになんて 行きたくないかもしれない。
「……二階堂くん？」
「…っ、はい！」
「…あれ？聞いてなかった？」
黙り込んでしまった二階堂くんにもう一度声を掛けたら、やっと返事が返ってきた。返事っていうか、呼び掛けに反応しただけで、誘いに対する返事じゃないけど。
もしかして聞いてなかったとか？そう思って問い掛けたら、二階堂くんの目が、不自然にきょろきょろと泳ぎ出す。
「えっ、いや……その…」
「……」
「聞いて、は……いたんですけど、」
「……」
「……あの、俺…ですか？」
何を言い出すのかと思ったら。とぼけた問い掛けに、思わず苦笑いする。
「当たり前でしょ？私達しかいないのに」
「あー…はは、ですよねぇ…」
そう言って、気まずそうに笑みを浮かべる二階堂くん。･･･やっぱり困ってる？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nanaco(プロフ) - 桃マスカットさん» こんばんは( *´艸｀)💚(絵文字使えるようになったことを忘れてた←) ですよね、後輩二階堂くんめちゃ可愛いですよね…😭✨コメントありがとうございました ( *´꒳`*) (2021年12月22日 23時) (
レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
桃マスカット(プロフ) - 今回の後輩二階堂くんもめっちゃ可愛かったですー💚こんな後輩に懐かれたいです(*≧艸≦) (2021年12月22日 14時) (レス) id: 21ddaf22cf (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - ばーばぱぱさん» ばーばぱぱさん、コメントありがとうございます♪ そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2021年9月18日 9時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
ばーばぱぱ - なんか、、、 癒されるううう(♭・~・) (2021年9月16日 16時) (レス) id: c74ffed917 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - nokkoさん» nokkoさん、初コメありがとうございます♪ えぇっ、泣かせてしまってすみません(；；)笑 そうなんです…最初はくっつけるつもりだったんですが、気付いたらこのような結末に…番組とは違いハピエンにしたかったのに、結局こうなりました (;_;) いい男ですね…高嗣くん… (2021年8月29日 11時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nanaco
| 作成日時：2021年7月1日 19時
