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「聞かなくていいの?元カノのこと」
何も言わずに抜けてきたから友達に電話してくるって、ついでにタバコも吸うからここで待ってて、って高嗣に私を託した宏光。
すっかり信じてるみたい。私と高嗣が赤の他人で、今日初めて会った、という嘘を。
「…うん、」
「……」
「……信じてるから、」
自分に言い聞かせるみたいに呟いて、ホントに信じてるの?って自分自身に問い掛ける。
"信じてる" というよりは、"信じたい" って言った方が合ってるかもしれない。あの時みたいに、疑ったり、不安になったりして、同じ過ちを繰り返したくないから。
「……好き?」
「え?」
「あの人のこと、ちゃんと好き?」
「……好きだよ、」
「……」
「……」
「……良かった、」
「…え?」
「幸せそうで良かった」
「……」
「泣いてるから幸せじゃない、傷付いてるから幸せじゃない…って思ってたけど、そうじゃないんだって気付いた。泣きたくなるほど好きで、その人の些細な言動に喜んだり、怒ったり、傷付いたり…」
「……」
「そんな風に感情を動かされるくらい、その人のことが好きってことなんだよね」
「……そう、だよ…」
「……」
「好きになると、その人に感情を振り回されるの。馬鹿みたいにその人のことばかり考えて、嫌われたくないから本音を言えなくて、それでいっぱいいっぱいになって、すごく苦しくて、泣きたくなるけど我慢して…」
「……うん、」
「……」
「……あの頃のAはさ、ちゃんと俺のこと、好きでいてくれたんだよね」
「……」
「……俺ら、ちゃんと想い合ってたんだ」
「…うん」
「……」
「……大好きだったよ、高嗣のこと」
「………俺も、」
「……」
「Aのこと、大好き……だった」
「……」
"好き" だけじゃ、上手くいかない。両想いになったらそれで終わりってわけじゃない。今なら分かるのに、嫌ってほど分かるのに。
もしもあの頃の私が・・・私達が、もう少し、ほんの少しだけでもお互いに向き合えてたら。今頃、隣で笑い合ってたのかな。
「……A、」
「…何?」
「……最後のお願い、聞いてくれる?」
照れ臭そうにはにかむ高嗣に、何を言われるのかと少し構えてたら。聞こえてきたのは、高嗣らしくない、クサい台詞。
思わず笑ってしまった私に、「笑うと思ったわ!」って高嗣が吹き出した。その笑顔を見て、ちょっとだけ、涙が出た。
・・・幸せになってね、高嗣も。
end
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nanaco(プロフ) - 桃マスカットさん» こんばんは( *´艸`)💚(絵文字使えるようになったことを忘れてた←) ですよね、後輩二階堂くんめちゃ可愛いですよね…😭✨コメントありがとうございました ( *´꒳`*) (2021年12月22日 23時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
桃マスカット(プロフ) - 今回の後輩二階堂くんもめっちゃ可愛かったですー💚こんな後輩に懐かれたいです(*≧艸≦) (2021年12月22日 14時) (レス) id: 21ddaf22cf (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - ばーばぱぱさん» ばーばぱぱさん、コメントありがとうございます♪ そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2021年9月18日 9時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
ばーばぱぱ - なんか、、、 癒されるううう(♭・~・) (2021年9月16日 16時) (レス) id: c74ffed917 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - nokkoさん» nokkoさん、初コメありがとうございます♪ えぇっ、泣かせてしまってすみません(;;)笑 そうなんです…最初はくっつけるつもりだったんですが、気付いたらこのような結末に…番組とは違いハピエンにしたかったのに、結局こうなりました (;_;) いい男ですね…高嗣くん… (2021年8月29日 11時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2021年7月1日 19時