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「いいの?」
「いいよ、どうせ安モンだし」
「ふふ、それ言っちゃうんだ」
「あ、ホントだ。怒られるわ (笑)」
当たらなかったのに、高嗣がまたサービスだと言って景品をくれた。季節外れだけど、手のひらサイズの小さな小さなスノードーム。
子供の頃の私は、こういうキラキラしたものを集めるのがすごく好きだった。迷いなくそれを選んだ高嗣に、覚えてたの?って聞こうとしたけど、やっぱりやめた。
「なんかさ、俺らがまだこーんなちっさかった頃にさ、母ちゃん達から小遣い貰って、くじ引きやりに行ったの覚えてる?」
「…あ、あの300円のやつ?」
「そう!紐引くやつ!」
「絶対ハズレしか出なかったよね (笑)」
「いや、でも当たってる人いたじゃん!」
「いたっけ?」
「いたよ!」
「…サクラじゃない?」
「うわー…有り得るなそれ、」
ここからは見えない花火の音を聞きながら、思い出話に花を咲かせる。手に持ってるスノードームが、屋台の明かりでキラキラと反射してるのをぼんやりと眺めてたら、不意に隣から、強い視線を感じた。
何の気なしに隣を見れば、思ったよりも近い距離に高嗣がいて、目が合った。なんとなく、視線を逸らせなくて。そのまま見つめてたら、ふふ、って照れ笑いみたいに口元を綻ばせて、高嗣が視線を伏せる。
「……何?」
「いや…」
「ちょっと、気になるじゃん」
「……見惚れてた、」
「…え?」
「……だってA、ちょっと見ない間にすっげぇ綺麗になってるから。普通にしてるつもりだけど、実は結構緊張してたりして」
「っ、…何それ、揶揄わないでよ」
「揶揄ってなんかないよ、マジで言ってる」
口を開けば、人のことを揶揄ったり、ふざけたことを言ったりやったりして。いつだって、クラスのムードメーカーだった。高嗣がいると、皆が笑顔になる。私はそんな高嗣の幼馴染みであることがすごく誇りだったし、高嗣のことが大好きだった。
だから、突然「付き合わない?」って言われた時はものすごく驚いた。また、いつもの冗談かなって。冗談なら、もっとマシなのにしてよって。そう返せなくなるくらい、真剣な眼差しに、私はただ、頷くしかなくて。
だって私は、小さい頃からずっと、高嗣のことが好きだったから。幼馴染みとしてだけじゃなくて、1人の男の子として。隣にいるとドキドキして、苦しいから離れたくなるけど、やっぱり隣にいたくて。そんな私の葛藤なんて、高嗣はきっと知らなかったよね。
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nanaco(プロフ) - 桃マスカットさん» こんばんは( *´艸`)💚(絵文字使えるようになったことを忘れてた←) ですよね、後輩二階堂くんめちゃ可愛いですよね…😭✨コメントありがとうございました ( *´꒳`*) (2021年12月22日 23時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
桃マスカット(プロフ) - 今回の後輩二階堂くんもめっちゃ可愛かったですー💚こんな後輩に懐かれたいです(*≧艸≦) (2021年12月22日 14時) (レス) id: 21ddaf22cf (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - ばーばぱぱさん» ばーばぱぱさん、コメントありがとうございます♪ そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2021年9月18日 9時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
ばーばぱぱ - なんか、、、 癒されるううう(♭・~・) (2021年9月16日 16時) (レス) id: c74ffed917 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - nokkoさん» nokkoさん、初コメありがとうございます♪ えぇっ、泣かせてしまってすみません(;;)笑 そうなんです…最初はくっつけるつもりだったんですが、気付いたらこのような結末に…番組とは違いハピエンにしたかったのに、結局こうなりました (;_;) いい男ですね…高嗣くん… (2021年8月29日 11時) (レス) id: ad35a9ba49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2021年7月1日 19時