Al Suhail al Wazn

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「ていうか俺、そこからずっと見てたんだけどさー…こんな店の真ん前でナンパとか、マジでやめてくんない？普通に邪魔だし、すっげぇ迷惑だし。これ以上迷惑掛けられたら、こっちも黙ってらんないんだけど」



営業妨害だって、警察呼んでもいいの？

その言葉を聞いてさすがにヤバいと思ったらしく、男達はそそくさと去っていった。･･･といっても、気配で分かっただけなんだけど。助けてくれた彼の「行ったよ、もう大丈夫」って言葉で、ハッと我に返った。

慌てて、距離を取る。いくら助けてもらったからって、初対面の人に縋り付くとか有り得ない。恥ずかしくて、顔から火が出そう。



「あ、あの……ありがとうございました、」

「……」

「それと、ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。……ていうか、こんなとこに1人でいたら、絡まれても文句言えないですよね……ホントにすみませんでした」

「…A、」

「…え？」

「……」

「……え、あの…」



聞き間違いかと思った。だけど、見上げた先にあるその顔は、どこか見覚えがある。



「…Aだよね？AA」

「……はい、」

「ふふ、はいって (笑) めっちゃ他人行儀じゃん。まだ俺のこと分かんないの？」

「……」

「……」

「え……もしかして、高嗣…？」

「そう！正解っ！」

「っ、嘘……ホントに？ホントに高嗣？」

「だから、そうだって言ってんじゃん。正真正銘、Aの幼馴染みの二階堂高嗣！」

「……」

「信じてくれた？」

「……うん、」



恐る恐る頷くと、少し不満げだった顔が、たちまち満面の笑みに変わった。

･･･高嗣だ。見た目は年相応に大人びてるけど、喋り方も、笑い方も、優しいところも。何一つ、全然変わってない。



「何年ぶり？7年とか8年とかいってるよね」

「…いや、10年は経ってると思うよ」

「えっ、マジ？そんな経ってるっけ？」

「だって中学卒業して以来だし…」

「そっか、今26だからそんなもんか……あっ！てかさ、A、成人式来てた？めっちゃ探したんだけど全然いなかったし……もしかして地元じゃない方に出てた？」

「あー…私、その時日本にいなかったの」

「え？」

「カナダに1年間、留学してたから」

「…マジか、」

「成人式、行くつもりだったんだよ？日程合わせて一時帰国する予定だったの。でも、バイト先から電話があって、どうしてもヘルプに入ってほしいって頼まれちゃって…」

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