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「おめでとう、ございます…」
震える声でおずおずとそう言ってくれた彼女に、なんてことないフリをしてお礼を言ったけど、実は内心、結構動揺してたりする。
"おめでとう" なんて、これまで生きてきた中で数え切れないほど言われてきたわけで。
誕生日なんて人生の通過点に過ぎないし、別におめでたくもなんともないと思ってる。
・・・なのに、めちゃくちゃ嬉しくて。
もう少し早く仕事が終わってたら、こうやって隣り合わせに座ってケーキ食ったり乾杯とかしたり・・・って、出来たんだろうな。
そんなどうしようもないことを考えても、タイムリミットはもうとっくに過ぎてる。
明日の入り時間を考えると、今すぐにでもタクシーを呼んで、帰らなければならない。
Aちゃんのことは店長に任せるとして・・・いや、俺が任せるとか言うのは変か?
とにかく、店長はこの状況に慣れてるみたいだし、酔い潰れても放ってたということは、大方店長が彼女を送っていくんだと思う。
ふとAちゃんを見ると、唇をキュッと噛んで、目をうるうるさせて、何かに耐え忍ぶような、そんな表情で俯いていた。
もしかして・・・・・
俺に、直接 "おめでとう" って言えたから?
だからそんな、泣きそうになってんの?
ただの自惚れかもしれないけどさ、さっき店長から聞いた話を思い返してみると、そうなんじゃないかなって思っちゃうじゃん・・・
目が合うとすぐ逸らすくせに、またすぐ見てくるし、そんでまたすぐ逸らすし。
『……可愛い、』
気付いたら、無意識にそう呟いていた。
『連れて帰りたいんだけど、ダメ?』
自分でも、初対面で何言ってんだって思う。
逆の立場だったら、絶対こいつ遊んでる奴じゃんって、警戒心ガチガチに固めるし。
「ちょっと北山さん、ダメですよ (笑)」
『ん?何が?』
「今の、本気に取られたらどうするんですか?困るのは北山さんだと思いますけど。」
真面目なトーンでそう言ってくる店長。
『……別に、それでもいいよ?』
「たとえ北山さんが良くても、Aの方が傷付くかもしれないじゃないですか。それだけは俺、絶対に見過ごせないんで。」
「ちょっと優斗…っ、」
「Aは黙ってろって。」
「み…っ、北山さんが冗談で言ってることくらい分かってるし!だからやめて!!」
『…俺、本気で言ったんだけど。』
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nanaco(プロフ) - ななこさん» ななこさん、お待たせ致しました ♪本編にはなかったシーンも沢山ありますので、楽しんで頂けたら嬉しいです(*´ω`*) (2020年11月16日 8時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - (*´∇`*)ワアアッ! 待ってました!花火と未練シリーズほんっっとに大好きです!!宏光との関係もあの後の裕太との関係もめちゃくちゃずっと気になってます!!これからも更新楽しみにしています♪ (2020年11月13日 22時) (レス) id: 6f285e02f0 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - ソフィアさん» 連打、受け取りました (*`ノω´*)笑 ありがとうございます♪ そして、おめでとうございます(*´艸`*) (2020年9月26日 21時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 無理だけど、お星様連打!!!みっくん、お誕生日おめでとう!!!!! (2020年9月25日 19時) (レス) id: 06f6b1f19d (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - ゆーこさん» ゆーこさん、コメントと嬉しいお言葉をありがとうございます (*´ 艸`) 夜分遅いですが、無事、完結致しました☆前作はノンリアルでしたが、今回はリアル設定で、みっくんも主人公ちゃんもお客さんにしちゃいました (笑) これからも、宜しくお願い致します ♪ (2020年9月25日 0時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2020年9月24日 20時