Torenia Fournieri -2-

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「もー！また負けた！ニカちゃんっ、手加減くらいしてよ！！」




『絶対やだね (笑)』




「意地悪！鬼！！」




すげぇ言われようなんだけど･･･(笑)




家に帰ったらAがいて、俺の部屋でテレビゲームをしながら盛り上がる。




これも、幼馴染だからこそ出来ることだ。




この日常が俺にとっての幸せだから･･･




『あっ、次のステージ始まった！』




「……。」




『A！拗ねてる暇ないって、早くしないと倒されちゃう！！協力ステージなんだから俺だけじゃどうしようもないんだ…って……』




ふと隣を見ると、さっきまでいたはずのAが何故かいなくて･･･




ガチャンッ




手に持っていたコントローラーが、滑り落ちて床に転がった。




視界に入ったのは、紺色のスカート･････ではなく、そこから伸びる白い脚。




Aは、俺の横で仰向けに眠っていた。




『…っ、』




ダメだと分かっているのに、ゆっくり、ゆっくりと視線を移動させていく。




寒がりなAの為に暖房をガンガンにつけていたから、コートもブレザーも身に纏っていなくて、ブラウスだけ。




そのブラウスさえも、効きすぎた暖房がよほど暑かったのか、上のボタンが2つ開いている。




まさに、見えるか見えないか、ギリギリのところだった。




『は…マジ、かよ……』




どんだけ安心してんの、俺の前なのに。




･････あぁ、そうか。




俺の前だから(・・・)、なんだ。




「んん…、」




『……なっ、ちょ…』




無防備な寝顔が、寝返りを打ったことでこちらを向いた。




もー･･･勘弁してほしい。




部屋に2人きりで、この距離感。




色々とキツい･･･




「…ニカ、ちゃ……ん、」




『……え？』




「……。」




寝言で･･･俺の名前呼ぶとか･････




『…っ、』




今の俺、絶対顔ヤバい。




マジで緩みまくってる。




慌ててベッドの上にあったブランケットをAに被せて、ゲームの電源を抜いた。




何度か深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着けてからAを見下ろす。




･････可愛い。




こんな風に寝顔を見れるのは、きっと幼馴染の特権なんだろうな。




幼馴染じゃなかったら･･･なんて思うこともあったけど、幼馴染だからこそ、今がある。




今この瞬間が、幸せだから。




このままでも十分、幸せなんだって･･･




･････そう思うことしか出来ない。

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