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「あのー…」
立ち止まったままの私を不思議に思ったのか、番組のADさんらしき人が声を掛けてきた。
「どうかされました?」
「あ…っ、いえ、大丈夫です…!」
なんとか愛想笑いを浮かべながら会釈をして、少し早歩きでスタジオを後にした。
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楽屋に戻った私は、すぐさまカバンからある資料を取り出し、出演者の項目を探す。
事前に渡されていたけど、昨日は夜遅くまで撮影があって、結局移動車の中で なんとなく目を通すことしか出来なかったんだよね・・・
上から順に見ていくと、グループ名の下にメンバーの名前が続いていく。
ふと、ある名前に目が止まった。
「……二階堂、高嗣…」
声に出して、ハッとした。
「……二階堂、だから…ニカ?」
"ねぇ、俺らどっかで会ったことない?"
"絶対見たことある気がする…"
"ニカ、って呼んで "
"友達思いな子、俺はめっちゃ好き"
"……秘密 "
あの夜のことは、今でも鮮明に覚えている。
たった数時間、お酒を呑みながら たわいもない話をしただけなのに・・・・・
ふとした瞬間にニカのことを思い出しては、もう会うことはないと自分に言い聞かせてきた。
たまたま同じホテル、同じ階、隣同士の部屋だっただけで、もう会うことはきっとないと・・・
それなのに、こんな偶然ってある?
茫然と立ち尽くしていると、なんの前触れもなく コンコン、とノックされたドア。
誰が来たか、なんて分かるはずないのに。
だけど・・・・・
ドアの向こうには、きっとあなたがいる。
「……は、い…」
喉の奥から絞り出したような声が出た。
あぁ、私 泣きそうになってる。
収録前なのに、メイクも済ませてあるのに、目頭がじんわりと熱くなっていくのを感じた。
『……ふはっ、やっぱりAだ!』
開いたドアから、笑顔が覗く。
「…ニカ、」
『運命じゃない?』
「え…?」
『俺、Aとはまた会える気がしてた。』
ふわりと優しく微笑むニカに、ここが楽屋だということも忘れて、抱きついてしまった。
・・・・・逆だよ。
私はもう、会えないと思ってた。
『…今日、この後仕事ある?』
ニカの腕の中で首を横に振ると、背中に回された腕に ぎゅうっと力が込もっていく。
『……ずっと会いたかった。』
・・・・・それ、私の台詞なんですけど。
ーfinー
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nanaco(プロフ) - merさん» こんばんは (*´ω`*)♪ シーツのお話なんて誰も書かないだろうなぁと思いながら、挑戦してみました (;・∀・)笑 引き続き宜しくお願いします☆ 残り話数が少ないので、お話途中で跨がないよう頑張ります(^^; (2020年5月14日 1時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
mer(プロフ) - こんばんは♪ シーツのお話、何だかあり得ないようであり得そうで、ドキドキしています☆楽しみにしています!! (2020年5月13日 1時) (レス) id: 6743556bd3 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - さやさん» さやさん、ありがとうございます♪ 次のお話を書きたくてスピード更新でした(^^; はい、シーツのくだりをストーリー化しちゃいました(笑) ほんの出来心、と言い訳したいところですが、Webを見た瞬間、書きたい!と思いすぐに文字にし始めました(*/ω\*) (2020年5月13日 1時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - すんさん» すんさん、返信したつもりが出来ていなかったです、大変申し訳ございません(´;ω;) あれから動画もアップされたり、先日のリモートライブも、相変わらずお顔が宜しかった (;▽;) またWeb絡みのお話始めちゃってますが、良かったらおうち時間の暇つぶしにどうぞ(*^_^*) (2020年5月13日 1時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして新しいお話、ものすごく面白くてお腹痛いです笑 まさかシーツのくだりをお話にされるとは思ってなかったので、びっくりです。続きも楽しみにしてます( ´ ▽ ` ) (2020年5月11日 2時) (レス) id: fa3ac91521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanacoy1139 | 作成日時:2019年12月8日 19時