Torenia Fournieri -2-

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今日の高嗣は変だ。




マネージャーさんからの電話があってから、ずっと私にくっついてくる。




嫌がるだろうなと思って、悪戯心に頭を撫でてみたり、ギュッて抱きついてみたりするけど、嫌がるどころか･･･




『ふふ、もー…何？(笑)』




「……。」




めっちゃデレてくる。




･････ちょっと待ってよ。




こんなの高嗣じゃなくない？




いや、嬉しいよ？




嬉しいに決まってるけどさ･･･




ベタベタするのが苦手な高嗣が、自分からくっついてくるなんて まずありえない。




私からくっついても、いつもなら『ひっつくなって…』って言うじゃん。




『…A、』




「何？」




『たまには昼寝でもする？』




昼寝･････？




「…えぇっ？！」




『……ダメ？』




「っ、いや……ダメじゃないけど、」




家にいる時は大抵、バラエティー番組を観るか、掃除するか、お酒呑むか･･･




貴重な時間を昼寝に使うの？




･････高嗣が？




『よし、じゃあベッド行こ！』




「う…うん、」




ほら･･･手なんか繋いでくるし。




外で会う時は 当然手を繋いだりすることはないから、すごくぎこちない。




しかも･･･




よく見たらこれって、繋ぐというより 指先をちょこっと摘んでるみたいな感じだし。




「…ねぇ高嗣、」




『ん？何？』




振り向いて、ニッコリ笑う。




「……。」




やっぱり、今日の高嗣は変だ。




繋がれた･･･いや、摘まれた手をしっかりと握り、高嗣より先に寝室へと向かう。




『え、ちょ……A？』




「……。」




『急にどうしたの？』




「…こっちの台詞なんだけど、」




空いた手でドアを開けて、そのまま高嗣を中へと連れ込んだ。




『A？なんか怒って……わっ、』




ボフン、とベッドに沈んだ高嗣は、私とベッドを交互に見て、瞬きを数回･･･




『…A？』




「……。」




『ちょ……何？襲おうとしてる？』




目をキョロキョロと泳がせては、様子を伺うように上目遣いで私を見てくる。




「…あのさ、」




『……うん、』




「たまには甘えていいよ？」




『…え？』




「高嗣はなんでも溜め込みすぎちゃうところがあると思う。それってどうなの？」




『……別に、溜め込んでなんか…』




そこまで言いかけて、口籠る高嗣。




目を合わせまいと俯くから、セットされていない毛先が 私の鼻先をくすぐる。

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