Torenia Fournieri -2-

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「私もだよ？気が合うし信頼出来るし、なんだかんだでいつも一緒にいる…」




『…違うよ、』




「…え？」




なんだかんだでいつも一緒にいるのだって、俺がAのそばにいるからだよ。




その証拠に、Aから俺の元へ来ることはほとんどないんだ。




仲のいい同期というポジションを利用して、Aを縛り付けている。




本当は俺以外の人と話したり呑みに行ったりだってしたいはずなのに、俺が誘うと必ずと言っていいほど こちらに来てくれるA。




"二階堂くん、たまには私なんかじゃなくて違う人と呑みに行ってもいいんだよ？"




私なんか、じゃない。




Aだから一緒にいたいんだよ･･･




『Aの思ってる好きじゃないんだよ、俺のは。気の合う同期とか……戦友とか……そうゆうんじゃなくて、』




言葉よりも先に体が動いた。




「……え、ちょ…っ、」




ぎゅう、って力一杯抱き締める。




腕の中で固まっているAは、きっとめちゃくちゃ混乱してるに違いない。




だって俺達は、ただの同期だから。




その歯痒さを感じているのはいつも俺だけで、こうやってダイレクトに気持ちをぶつけるのは初めてだった。




少しばかり暗闇に視線を彷徨わせてから、ゆっくりと、目線を下げる。




ヒールのあるパンプスを脱いだら、この5センチほどの身長差はどれくらいになるのか。




知りたいんだ、ありのままのAを。




『…っ、』




街灯に照らされたAの耳が、真っ赤に染まっているのが見えた。




･････意識してくれてるんだ、俺のこと。




次第に、服越しからでも伝わってくるほどの鼓動が 自分のものではないことに気付く。




堪らず、その可愛い耳に口付けるように顔を寄せて そっと囁いてみた。




『俺の好きは……こうゆうことだよ、』




「ひゃっ、」




肩を竦めるAに、ドキドキは止まらないのに、いつもの意地悪な俺が顔を出す。




『いつも言ってるじゃん、好きって。』




「ちょ…そこで喋んないでっ、」




へぇ･････




耳が弱いんだ、Aって。




こんだけ一緒にいても、知らないことはまだまだ沢山あるんだろうな。




そう思うと、ますます欲が出る。




同期なんかじゃもう足りない。




･･･それ以上になりたい。




ねぇA、もっと俺にドキドキしてよ。




ドキドキして、訳分かんなくなって、俺のことを同期として見れなくなればいい。

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