Chocolate Sling -3-

特別な日の夜に ページ41

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明日、9月17日は私にとって特別な日。




なんなら、自分の誕生日よりも特別だ。




ケーキは何ヶ月も前からオーダーしてたし、ちょっと奮発して彼の生まれた年のワインを用意するのは、毎年恒例となっている。




そして、そのワインを開ける場所は、自宅でもなければ、オタ友の家でもなく･･･




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職場から2駅離れた隠れ家的なバー。




1人になりたい時、仕事に煮詰まった時、失恋した時、もう数え切れないほどここに通っていて、店長とも長い付き合いになる。




「あ、やっと来た。ちゃんと席取ってあるから、座って待ってて。いつものでいい？つーか今日、何時まで居座るつもり？」




「ちょっと、居座るって何よ？失礼すぎない？私一応お客さんなんですけど？」




「うるさい客はお断りですけど？」




「…言い方真似しないでよ、」




「まぁまぁ、いいから早く座れって (笑)」




「……。」




ヘラヘラと笑いながら慣れた手付きでシェイカーを振る優斗を、無言で睨み付ける。




最初は敬語だったけど、色々話してるうちに同じ歳だってことが分かって、そこからはお互いに、敬語なしで砕けた仲になった。




第一印象はすごく優しくて紳士って感じだったのに、今は全くもって真逆のイメージ。




めちゃくちゃ毒舌だし、ドSだし。




愚痴とか相談とか、最初の頃はちゃんと親身になって聞いてくれたのに 今は思ったこと感じたことを遠慮なく言ってくるし、店長と客っていうより完全に友達感覚なんだよね。




「…あ、」




いつもの席に座ると、テーブルに "reserved" と印字されたプレートが置いてある。




思わず顔を上げたらドヤ顔を浮かべた優斗と目が合ったけど、なんだかムカつくしめんどくさいから無視することにした。




インスタに載せようと思って写真を撮ってたら、「お前でもそんな女子っぽいことするんだな？」って奏多が馬鹿にしてくる。




「…これでも一応女子なんですけど、」




呟いた一言に、ジワジワと込み上げてくる虚しさには気付かないフリをするしかない。




どうしようもないじゃん。




今更、何の為に女を磨けって？




綺麗になったって、それを見せる相手も喜んでくれる相手も、どこにもいないのに。




それなのに今でも美容や身嗜みにそこそこのお金を掛けてしまうのは、ただの自己満足というか、せめてものプライドというか･･･

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