Chocolate Sling -3-

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「萩野ちゃん、好きな奴おるみたいやで。」




定時で終わって帰り支度をしていると、いつの間にか背後に立っていた大倉がボソッと呟いた。




『…は？』




「ちょ…っ、顔！顔怖いって (笑)」




『なんだよそれ。』




大倉の言葉に顔を顰める。




こんなことはしょっちゅうだ。




根も葉もない噂を聞いては いちいち俺に報告してくるから、とてもじゃないが信用ならない。




「まぁ、落ち着けって〜(笑)」




『…落ち着いてねぇのはお前だろうが、』




さっきから声のトーンを落としているつもりなんだろうけど、とにかく顔がうるさい。




いやに爛々とした目が鬱陶しい。




「んふふ、さては信じてないな〜？」




『分かってんなら そこどけよ。つーかその喋り方やめろ、すげぇウザいわ。』




ジロリと背の高い大倉を睨み上げると、気持ちの悪い含み笑いを浮かべながら、




「今回はちゃうで？本人と話したし。」




そう言って肩にポン、と手を置かれた。




『……本人って、』




「さっきトイレ行っとったんやけどな？出たら丁度萩野ちゃんとばったり会ってんよ。」




『……。』




「そしたら萩野ちゃんがいきなりさぁ、"大倉くんって彼女いるの？"って聞いてきてん！」




『あー…』




萩野の奴、早速聞いたんだな。




「いや、反応薄すぎやって！」




『…で？続きは？』




反応もクソもねぇっつーの。




萩野から話聞いてるし･･･




「そうゆう質問するってことは、やっぱり期待するやん？もしかして俺のこと…ってさ、」




『…それで？』




「なんや、心配やないの？」




反応の薄い俺に、不満げに口を尖らせる大倉。




『いいから 早く続き話せよ。』




俺はそんなことよりも、萩野に好きな奴がいるという情報が気になって仕方ねぇんだよ。




「…そんで、もしかして俺のこと気になってるん？ってストレートに聞いてみてんけどな？」




『……。』




「ちょっとは顔赤くなったり動揺するかなぁって期待してたのにさ、いいから教えて！…ってまぁまぁ食い気味に聞かれたわけよ。」




『ふはっ(笑) 食い気味って…』




「もうこれは完全に脈ないなって思ったけど、一応彼女募集中やってことは言っといたわ。」




『へぇ、随分あっさり引いたんだな？』




脈なしだとしても、大倉のことだからグイグイいくだろうと思ってたから 少し驚いた。




「……で、こっからが本題なんやけど…」

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