Chocolate Sling -2-

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「言いたいことあるなら言えば？」




苛立ちをAにぶつけるのは違う。




Aは何も悪くない。




どう考えても俺の問題じゃん･･･




分かってるはいるのに、苛立ちも不安も、何もかも隠せないでいる。




そんな自己嫌悪でいっぱいの俺に、Aが意外な一言を口にした。




「………デートがしたい。」




･･･え？




思わず、スマホを落としそうになった。




デートしたい･･･って･････




「……してるじゃん、」




「…どこが？」




「今だよ今。まったりのんびり、おうちデートってやつなんじゃないの？」




そもそも、大学やバイトがない日に わざわざ外になんて出たくない。




それにさ、何もせずに こうやって穏やかな時間が過ごせるのってすごく幸せでしょ？




Aも言ってくれたじゃん。




別にどこかに出掛けなくたって、裕太と一緒にいれたらいいよって。




だったら･･･




「そうじゃなくて！買い物に行ったり映画観に行ったり、海行ったり花火したり…」




は？




･･･なにそれ。




行きたいとこだらけじゃん。




なんでもっと早く言わないの？




ちゃんと言ってくれたら俺だって･･･




Aなら大丈夫、嫌がらずに俺に合わせてくれるんだって思ってたのに。




･････俺、馬鹿みたいじゃん。




「…あのさ、前にも言ったよね？」




「……。」




「買い物なんて行っても男女で見る店違うし、時間の無駄じゃん。服買いに行くなら友達と行けばいいだけの話でしょ？」




服を見るのは好きだけど、さすがに女物の服とかアクセとかは分かんない。




Aだって、買い物は俺と行くより友達と行った方が絶対楽しいはずだし。




「映画もそう。わざわざお金払って観るより、DVD借りて家で観た方が絶対いいって。」




その分、バイト終わりとかに2人で美味しいもの食べたらいいと思う。




いちいち映画館なんて行ってたら破産しちゃうじゃん、俺まだ学生だし、沢山稼げないし･･･




あ･･･あと、駅前とかその周辺だと 絶対うちの大学の奴らがウロウロしてるんだ。




元カノなんて今でも平気で俺に話し掛けてくるから、デート中にそれが原因で別れたりすることもあった。




･･･まぁ、ほとんどが大学の食堂で昼ごはん食べてる最中の話なんだけどね。




家に入れたのはAだけだ。




後にも先にもAだけ･･･




なんて、Aは知らないだろうけど。

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