Chocolate Sling -2-

6 ページ33

.


『えぇっと…』




「うわぁ…すっごい綺麗！」




『え？』




「これ、お兄さんが…？」




いや、さすがにもうお兄さんって呼ばれる歳じゃねぇんだけど･･･




『うん、俺が作った。』




「…頂きます、」




『……。』




首ほっそ･･･




「…美味しい、」




『ふふ、でしょ？』




「……うぅ、う〜…」




『えっ、…ちょ、』




「同じ…っ、」




『同じ…？』




まさか･･･




元彼と行ったバーで飲んだカクテルと、同じ味だとか言い出すんじゃ･････




「同じやつ下さい…」




『……かしこまりました、』




･･･って、何考えてんだ俺は。




俺は仕事中！




そんで、相手は客！！




･････多分、男絡みだよなぁ。




.




それから数十分ほど、俺は彼女の話を延々と聞いてやることになる。




彼氏に振られたことも、直後仕事が忙しくなり 昨日まで残業続きだったことも･･･




たまたまこの店を見つけて、入ってみたら雰囲気がすごく良かったってことも。




3杯ほどで目がとろんとしている彼女は、どうやら そこまでお酒に強くないらしい。




「Aのことはもう好きじゃなくなった…って、酷くないですか…？！」




『あー…うん、酷いね。そいつ。』




へぇ、Aって名前なんだ。




「…大好きだったのに、」




『……。』




「……てなわけで、仕事に生きようって決めたばっかだったんですよぉ…」




『…ふーん？』




大体の事情は分かった。




心変わりが理由で浮気した野郎の為に、なんでこの子が泣かなきゃいけねぇんだ。




こっちから願い下げよ！くらいの勢いで、次の恋に進めばいいのにさぁ･･･




例えば、俺とか。




「なのに…きたまやさんが……」




『きたやま、な？(笑)』




やっべ、可愛すぎんだろ･･･




首を傾げてこちらを見てくる彼女は、頰が染まっていて めちゃくちゃ色っぽい。




『…で？振られたばっかのお姉さんは 俺に一目惚れしちゃったの？』




「……ダメ？」




『んー…』




「うぅ…ダメなんだ……」




『ダメっていうか…』




嬉しいけど･･･




すっげぇ嬉しいけど！




それで俺が『いいよ、付き合っちゃう？』なんてノリで言って、頷かれるのかと思ったら、それはそれでなんだか嫌だった。




そうゆうのは もう御免なんだ。




ちゃんとした付き合いをしたい。




･････出来れば、君と。

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す