Torenia Fournieri -1-

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『えっ…』




私の涙を見て、ギョッとする二階堂くん。




その様子に、また私の涙腺は崩壊する。




こんなくらいで泣くなんて、面倒くさい女だなって思ってる？




「……もう、帰る…っ、」




泣いてるせいで呼吸が乱れて、口にした言葉はほとんど嗚咽に近かった。




『…こんなんで帰せるわけないじゃん。』




困ったような笑顔を見せるから、やっぱり二階堂くんはズルいと思う。




冷たい態度を取ったり、かと思えばこうやって笑顔で優しく接してくれたり。




「…私の、」




『え？』




「私の気持ち振り回して、そんなに楽しいの？」




『……。』




･･･あーあ、言っちゃった。




面倒な女決定だ。




でも、しょうがないよね？




割り切った関係なんか私には無理だもん･･･




二階堂くんが私にこだわる意味なんてない。




たまたま私が二階堂くんが働くコンビニの常連だっただけ。




合コンで向かい合わせになったのも･･･




そんないくつもの偶然が重なったことで、私は不覚にも、出会って間もない歳下の男の子に恋をしてしまったんだ。




『…どうゆうこと？』




少しの沈黙のあと、彼の口から出た言葉はあまりにも間抜けなものだった。




「……どうゆうって、」




『いや、マジで分かんない。お姉さんは何にそんなに怒ってるの？』




「…っ、だから、怒ってないってば。」




『あの日いきなりキスしたこと？それとも、こうやって強引に一緒に帰るように仕向けたこと？』




･････なんだ、自分が強引なことをしてるんだって気付いてるじゃん。




『…酎ハイ、わざと振ったから？』




「……は？」




何･････今わざとって言ったの？




『……。』




「信じらんない……わざとって何？」




私がずっと泣きたくなるのを堪えてる横で、二階堂くんはそんなふざけたことをやってたわけ？




『だから、ごめんって…』




「さっきから謝ったら済むと思ってる？」




『っ、違…！』




「違わないでしょ？こうやって人の気持ちも考えずに自分勝手に振り回して、全部"ごめん"の一言で片付けちゃうんだよ、二階堂くんは……」




ポロポロと零れ落ちる涙に、二階堂くんはただ黙ってるだけ。




･････もうやだ、消えちゃいたい。




「…なんで私に構うの？」




そんな私の面倒な質問に、二階堂くんは何かを躊躇っているような表情を浮かべている。

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