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「君は、今の話を聞いてどう思った?」
『え…』
どう思った・・・って言われても・・・・・
「Aさんの過去を全て知った上で、Aさんを可哀想だと思った?」
・・・可哀想?
・・・・・。
『いえ、可哀想だとは思いません。』
「……それはどうして?」
『Aと俺が出会ったのは、ただのレンタルビデオショップでした。それも、都心の栄えたところではなくて少し郊外にあって…』
「……。」
『Aの家が裕福だって聞いた時、なんでバイトなんかしてるのって聞いたんです。』
「…そんなデリカシーに欠けることを?」
呆れたように笑う藤ヶ谷さんには構わず、俺はさらに続けた。
『そしたらA、親に甘えたくないんだって言ってました。1人でお金を稼いで、家事もこなして、早く1人前になって親を安心させたいんだって…』
その時は単純にすごいなって思ったけど・・・
すごい、なんてもんじゃない。
AはAなりに、必死だったんだ。
レンタルビデオショップなんて、裏で在庫整理や発注する以外は、お客さんと顔を合わせて接客するのが主な仕事だ。
職場にもお客さんにも、当然男だけじゃなくて女の人もいっぱいいた。
『もしもAがそうゆう考えを持っていなかったら……親元で生活していたら、きっと…』
何もかもが違う俺達が出会ったのは、いくつもの偶然が重なって起こった奇跡だと思う。
俺があそこで働くことになったのも、本当は都心で働くはずが、採用担当側のミスで募集人数が終了してたって分かったからだった。
電車1本で行けるはずが、乗り換え2回になって、正直辞めようか迷っていた。
Aがいたから、続けることにしたんだ。
「…なるほどね、よく分かったよ。」
『え?』
「Aさんが君を選んだのはなんでかなぁって、前々からずっと不思議だったんだよね。」
『……。』
「なんていうか……ふふ、色んな面で?(笑)」
『……。』
マジで、なんなのこの人。
「藤ヶ谷さん!」
「はははっ(笑) ホントに君達、揃いも揃って揶揄う い甲斐があるよね。」
ムカつく。
ムカつくけど・・・
Aが楽しそうだから、いっか。
この半年間のわだかまりが、スーッと綺麗になくなっていくのを感じる。
・・・やっと分かった。
俺は、Aが幸せならそれでいいんだ。
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nanaco(プロフ) - みちこさん» そう!ニカを元彼にするのはちょっと既に泣けてきます・・・なんだか婚約者=藤ヶ谷さんのイメージしません?笑 そうですよ、訳ありなんですよ〜。゚(゚^ω^゚)゚。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 恵美さん» が、頑張ります〜。゚(゚^ω^゚)゚。笑 (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - りっちゃんさん» やっぱり何を書いてもニカちゃんになりそうで抜け出せなーい!です(//∇//)w いきなりキャラ変はアレなんで、徐々にぶっ飛んだニカちゃんにしていこうかと(笑)また宜しくお願いします♪ (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - nanacoさん» 今度は元カレ設定?太ちゃんが恋敵?だけど何だか訳ありな(^.^)続き楽しみにしています(^_^) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
恵美(プロフ) - 早めに更新お願いします(笑) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 9abe6fed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanacoy1139 | 作成日時:2019年8月31日 21時