Torenia Fournieri -1-

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目の前の彼女の表情がどんどん曇っていくのに、俺の口は止まることを知らない。




『あー…あれか、友達に合わせてるのか。』




「…っ、」




･･･図星じゃん。




要は、あの子達に合わせてるだけで 自分の意思でここに来てるわけじゃないってことでしょ？




俺だって、最初は玉達に合わせてたんだ。




これが当たり前になっていくなら、こっそりフェードアウトしようかなって思ってたくらい･･･




だって俺、女の子苦手だから。




そんな俺が 黙ってここに留まってた理由なんて、君には分からないよね。




本当なら憂鬱な時間なのに、君がいるから楽しみにしてる気持ちもあったなんて･･･




･････いや、違うな。




そもそも俺のことなんて知りたいわけないか。




彼女からすれば、全然笑わない感じの悪い先輩でしかないんだろうし･･･




そう、身から出た錆ってやつだ。




でもさー･･･




感じ悪いのは自覚してるし、変われるもんなら変わりたいけど それが出来ないから今に至るんじゃん？




どうしようもないことを嘆くつもりはない。




ただ一つ言えるとしたら･･･




こんな俺でも 向き合ってくれたらいいのに･･･っていう、なんとも自分勝手な願望だ。




『……あと、君 俺のこと嫌いなんでしょ？だったら尚更じゃん。今ここにいる意味なくない？』




ここまで言えば、完全に嫌われてしまう。




でも、もう どうでもいい。




どうせ嫌われるなら 徹底的に嫌われた方が、諦められる気がするんだ。




「……。」




『…さっきから聞いてんの？』




黙ったまま何も言わない彼女に、少し言い過ぎてしまったかも･･･と心配になる。




バシッ




突然の衝撃に、思わず顔を顰める。




『…ってぇ、何？』




俺に当たって すぐそばに落ちたものを拾うも、予想外の出来事に頭は働かない。




「本気で嫌だったら来ないもん…っ、」




え･･･？




驚いて顔を上げると、泣きそうに顔を歪めた彼女が 俺を見下ろして 睨んでいた。




「最初っから嫌そうにしてたのは先輩の方でしょ？私は…っ、先輩を嫌いだなんて思ったことないし、ここに来るのだって…」




･･･待って？




どういうこと？




嫌そうにしてたのは俺で･･･




･････嫌いだと思ったことはない？




『あ…っ、おい！これ…！！』




戸惑う俺を置いてドアの方へと走り出した彼女に、気付いたら叫んでいた。

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