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デザートの杏仁豆腐まで平らげたところで、いよいよ本題に入ることになった。
「二階堂くん、」
さっきまでとは打って変わって、真剣な表情で俺に向き直っている。
『…はい、』
なんとなく、俺も姿勢を整えた。
「俺達の親同士は古くからの知り合いで……お互いの子供を結婚させるって、決めてたんだ。」
『……。』
話に聞いた通りだった。
生まれてくる前から結婚相手を決められるなんて、よく考えればとんでもない話だけど・・・
俺の知らない世界では、そんな話が当たり前のようにあちこちに転がっているのだろう。
「…だから、Aさんとは幼い頃に何度か会ったことがあったんだよね。」
『え?』
驚いてAの方を見る。
「まぁ、Aさんの方は俺のことなんか覚えてないみたいだったけど。」
「当たり前じゃないですか…私その時、3歳とか4歳だったんですよ?」
「あははっ(笑) そりゃそうか、元々俺は葉子と結婚するはずだったからね。」
葉子・・・って、Aのお姉さんの名前だ。
『あの…』
「ん?」
『Aのお姉さん……葉子さんが亡くなった後、Aと藤ヶ谷さんは…』
2人の様子からして、それ以来全く会っていなかったんだと思う。
だけど、もしAが葉子さんの代わりに藤ヶ谷さんの婚約者となったのなら、何故離れることになってしまったのか・・・
「高嗣…、あのね?」
それまで黙っていたAが口を開いた。
「顔を合わせると、3人で遊んだ時の記憶が鮮明に思い出されて…私も藤ヶ谷さんも会う度に大泣きしてたんだって。それを見かねた私の両親が、落ち着くまで藤ヶ谷家とは離れて暮らすことを決めたの。」
『…そう、だったんだ。』
「……その期限は、私にお姉ちゃんより大切だって思える人が出来た時だった。」
『え?』
「それが君なんだよ、二階堂くん。」
『……。』
藤ヶ谷さんの話はこうだった。
葉子さんが亡くなって、藤ヶ谷さんとも会うことがなくなったAは、それまでの明るくて元気な性格から一変して大人しく消極的になってしまった。
成長するにつれて本来の明るさは取り戻していったものの、誰かと必要以上に親しくすることが出来ずにいたらしい。
その理由は、人と人との繋がりにはいつか必ず別れが訪れるから。
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nanaco(プロフ) - みちこさん» そう!ニカを元彼にするのはちょっと既に泣けてきます・・・なんだか婚約者=藤ヶ谷さんのイメージしません?笑 そうですよ、訳ありなんですよ〜。゚(゚^ω^゚)゚。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 恵美さん» が、頑張ります〜。゚(゚^ω^゚)゚。笑 (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - りっちゃんさん» やっぱり何を書いてもニカちゃんになりそうで抜け出せなーい!です(//∇//)w いきなりキャラ変はアレなんで、徐々にぶっ飛んだニカちゃんにしていこうかと(笑)また宜しくお願いします♪ (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - nanacoさん» 今度は元カレ設定?太ちゃんが恋敵?だけど何だか訳ありな(^.^)続き楽しみにしています(^_^) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
恵美(プロフ) - 早めに更新お願いします(笑) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 9abe6fed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanacoy1139 | 作成日時:2019年8月31日 21時