My BELOVED〈短編集〉

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テーブルに無防備に置かれた二階堂くんの手を、そっと撫でてみた。




『わっ、……え、ちょ、な、何？！』




あからさまに反応する二階堂くんを見て、今度はすかさず首元に手を伸ばした。




『っ、』




その瞬間 ビクッと肩を揺らし、戸惑いの目で私を見つめる二階堂くん。




「……えっ、」




『な…何？』




「手が触れただけでもドキドキするの？」




『はぁ？』




自分でも、どんな試し方だよって呆れる。




でもさ、これが1番確実でしょ？




『意味分かんねーし…』




「脈、めっちゃ速いもん。」




『……あっ、そうゆうことかよ？！』




ベシッと私の手を払い退ける二階堂くんは、口調はいつも通りだけど･･･




･････驚くほど真っ赤。




思い返せば、今までの私は 二階堂くんとかなり距離が近かったはずだ。




手に触れるどころか、ふざけて繋いだことだってあるし 抱きついたことだってある。




"あーもうっ、酔ったAマジ面倒！"




"彼氏に怒られるよ？"




そんな私に、いつも呆れたように笑いながら 付き合ってくれていた二階堂くんは･･･




今みたいにドキドキしていたのだろうか。




『……おい、違うからな？』




「え？」




『今、手が触れただけでドキドキしてる…なんて驚いてんだろうけどさ、』




照れ隠しなのか、手元にある枝豆をちまちまと口に運びながら話している。




こんな話をしてるんだから、どうせなら手を止めて話してくれればいいのに･･･




そうゆうとこはやっぱり、私の知ってる二階堂くんなんだなって 安心出来るからいいけど。




『……はぁ、やっぱ言うのやめた。』




「え？意味分かんないんだけど。」




『だって俺 こんなキャラじゃねぇし。』




「こんなキャラってどんなキャラ？」




『……Aが鈍感なせいで、なんか俺 いっつも色んなもん失ってる気がする。』




唇を尖らせて拗ねた口ぶりでボソボソと呟く二階堂くんに、何故かキュンと高鳴る私の胸。




･･･いや、待って。




キュンって何よ、キュンって。




今の今まで、二階堂くんにキュン要素なんて一度たりとも感じたことなんてない。




『…いつもだよ、』




「え？」




『Aといる時、大抵こうだから…』




大抵こう･･･って、なんの話･････




「……。」




･･･私といる時、いつもドキドキしてた？




二階堂くんが私に･･･？

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