My SWEETIE〈短編集〉

＊ ページ27

.



『……いっつも太輔の前で顔赤くしてさぁ、』




ギュッて抱き締める腕に力が入る。




『…やっぱり、俺より太輔の方がいいのかな…って思っちゃうじゃん。』




「……横尾さん、」




『その呼び方、嫌だってば。』




「…わ、渉くん？//」




『…うん。』




「あのね、やっぱり…家以外でももうちょっと優しくして欲しい…です///」




『……。』




「今日だって……他のスタッフさんには普通なのに、私にだけ冷たかった。」




分かってるよ、渉くんが周りに知られないようにする為にわざとそうしてくれてるのは。




でも、あまりにも徹底しすぎじゃない？




「頻繁に会える仲だったらそれでもいいけど……ライブ中とか、渉くんが忙しくて会えない時に冷たくされたら…いくらわざとだって分かっててもね？不安になっちゃうの。」




『……ごめん。』




抱き締めたまま、私の頭をぎこちなく撫でる渉くん。




『今日は……マジでごめん。』




「…渉くん？」




『俺らが付き合う前さ、A…太輔が好きだったじゃん？』




「っ、でもそれは前の話で…」




『分かってる。……分かってるけど、やっぱり不安なんだよ。俺より太輔の方が優しいしカッコいいし、何もかも完璧でさ…』




「……。」




『…カッコ悪いなって思う、自分でも。勝手に嫉妬して勝手に八つ当たりして…』




……知ってたよ？




渉くんが何を考えてるか、なんで今日はそんなに冷たいのか……




でも、いつも渉くんは私に言おうとしないの。




私よりも歳上だからって、甘えようとしない渉くんを知ってるから…




今日は渉くんを存分に甘やかしたくなったんだ。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す