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思えばその時から、玉森くんと気まずくなっていたんだと思う。
毎日交わしていた"おはよう"の挨拶がたまにする程度になって。
"谷本"から"なぁ"とか "あのさ"とかになって。
目が合う事すらなくなっていった。
そして季節は流れ、二度目の体育祭。
私たちのクラスは総合準優勝だった。
私は4×200mのアンカーを任されたけど 順位を上げられずに2位に終わった。
玉森くんは去年と同じく4×400m。
違ったのはアンカーだった事。
皆に紛れて沢山応援したけど、トップと差を縮められず2位。
悔しそうに顔を歪める玉森くんに、私は何も声を掛けられなかった。
今年も日直だったらいいなと思った。
だけど、そんな奇跡は起こらなくて。
後ろの席の玉森くんに、今年は黄色じゃなかったねって話しかけると、
一瞬驚いた顔をして私を見て、またすぐに視線を机に向けた。
「別に、何色でもいいっしょ。」
…嘘。
黄色がラッキーカラーのくせに。
誰にも聞こえない声で 喜んでたくせに。
だけど、意気地なしの私はそんな事は言えずに、
「そうだね。」って、前を向いた。
「菜々子ちゃん、惜しかったね。もうちょいだったのに。」
帰り道、千賀くんと方向が同じだと分かってから、たまに一緒になる事が増えた。
「千賀くんは徒競走1位だったね、すごい速くてビックリしたよ。」
「短距離は得意なんだよね〜(笑)」
体育祭で、あれが楽しかったとか 盛り上がったとか、いろいろ話してたら、あっという間に私の家に着いて。
「それじゃ、また明日ね。」
「うん、バイバイ千賀くん。」
家に入った私は、少ししてからそっと外に出た。
「…送ってくれたんだ。」
千賀くんは元来た道を戻っていた。
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このみ - 大人になった裕太 (2020年10月3日 19時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
nanacoy1139(プロフ) - 黄色好きさん» 黄色好きさん、素敵なコメントありがとうございます…(^ ^)続編も考えておりますので、また良ければ是非お越し下さいね。 (2019年1月24日 7時) (レス) id: da866a5801 (このIDを非表示/違反報告)
黄色好き - 伝えたい想いは、何時でも伝えられるわけじゃないって事。それなら、今こそだからすぐにでも伝えたいなって。想いはありますよ。またいい話しでした。青春に戻ってみたい。 (2019年1月24日 1時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2019年1月22日 12時