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番外編1 ページ32





______ふと思うことがある。


事が全て片付いた後。どうせ戻ったら仕事だし、と面倒だという理由でそのまま社交宴に参加することを提案した太宰。

乱歩と繋がれていた通信は既に切られているので機器は取り外されている。「ね?」と相変わらず有無を言わさないその言葉に、優樹菜も諦めて頷いたのだが。



優樹菜は目の前で繰り広げられているその状況を見て、遠い目をしていた。




「太宰様と申しますの?よろしければ、私とこの後____」

「いいえ、それならば私と!」

「私もお願いしたいですわ!」



______美しく着飾られた女性たちの餌となっている男を見て。


太宰という存在はやはり女性が注目を集めるらしい。会場に戻った瞬間に女性達は優樹菜が居たにも関わらず、彼女を押し退けて我先にと太宰への挨拶へと向かっていた。

怖い。この一言である。



太宰も太宰で嫌な顔ひとつもせずに_____・・・・否、あれはきっと自 殺願望の美女を探している顔だ。遠巻きにその様子を見ていた優樹菜は頭の中で即答する。

落ち着くまで待っていよう。そのほうがきっと身の為だ。そう思い、飲み物の入ったグラスを持って窓辺に立っていた。窓から見える満月は神々しく輝いている。その月光はまるで彼女の琥珀色の瞳だ。闇を全て明るく照らし、吸収するような_____そんな光。



そんな優樹菜の姿を、太宰はちゃんと見ていた。

とても15歳とは思えぬ育ちの良さ、凛々しさ、美しさ。自分の身分ながら育ってきたおかげで今の彼女があることは十分理解していた。




「(____織田作。君にも会わせてあげたかったよ)」



もう居ない、会うことのできない友を思い出しながら。太宰は周囲の女性の間をすり抜け、月を見ていた優樹菜の隣へと静かに立った。




「(この子の「善」は、きっとこの世界の何かを劇的に変えるだろう。・・・・私が探し求めていたものも、見つかるかもしれないね)」




『_______太宰さん?』

「優樹菜ちゃん」




優樹菜の呼びかけ。それに気づいた太宰は、少しはにかむ。




「・・・・言っただろう!?私から離れないようにって!おかげで多くの女性に求婚されたけどね!」

『・・・・・良かったですね・・・・?』

「何故疑問形なんだい」




______彼女こそが、私の求めていたものなのかもしれない。


そんな考えは、彼の表情からは読み取れなかった。




【完】

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ゆゆ(プロフ) - りんりんさん» ありがとうございます!頑張らせて頂きますね!! (2022年12月6日 20時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 続き楽しみにしてます!! (2022年12月3日 12時) (レス) @page21 id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆゆ | 作成日時:2022年11月20日 0時

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