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第五章ー3 ページ28




「・・・・誰」


先程までの年相応の可愛らしい表情とは打って変わる、冷たい目と何の感情も出していない表情。傍で見ていた優樹菜は思わずヒヤリとした感情を抱いた。

チャリ、と踏まれたガラスが音を立てる。窓を破り、中へと入って来たのはエリスと同じくらいのまだ幼い少女だった。輝かしい金髪に赤いドレスを身にまとうエリスとは違い、漆黒の髪、服に闇が混じったかのような血のような瞳。対照的な二人だった。


騒ぎを聞きつけたのか、遠いところから走って来る音が近づいている。



「わたくしに名などありません。わたくしの目的はただ一つ_____一夜優樹菜、あなたを惨殺するために参ったのです」


冷淡にそう告げる彼女。その視線の先には優樹菜がいる。



『・・・・何故、私なんです?』

「お兄さまはあなたを必要としている。でも・・・あなたがこの世界に来たせいで、お兄さまはわたくしを見なくなった。____ならいっそのこと」



途端、無数の刃が少女の周りに出現する。その刃は全て優樹菜達のほうへと向けられていた。エリスの表情が歪む。



「_______わたくしが、あなたを殺す!!」




刃が放たれる。エリスは優樹菜を庇うように立った。しかしそれに気づき、優樹菜は咄嗟に氷を出そうとする。

しかしそれよりも早く、何かが部屋の壁を貫いた。黒い獣のような_____見覚えのあるそれは飛ばされた刃を全て消し去った。言葉のごとく、刃がその役割を失うかのように木端微塵となったのだ。


そしてそのままその獣は敵である少女に襲い掛かる。少女は避けようとしたが、後ろから迫って来ていたもう一つの獣によってその華奢な身体が縛り上げられた。うめき声が彼女の口から零れる。




「_____やけに騒がしい故、何事かと思えば」



部屋の壁は突き破られており、そこから一人の人物が姿を現す。

自由自在に獣_____【羅生門】を操っていた男。軽くせき込みながら、彼はお互いにかばい合うかのような体制を取っていた優樹菜とエリスを見ると、鋭い目つきで自身で縛り上げた少女を見やった。



「して、お前は何者だ」




彼_____芥川の怒りが含まれる声がやけに響いた。




今ここに、すべてを終わらせる開戦の狼煙が大きく音を鳴らしながら上げられる。

少女の顔が、焦りと怒りでひどく歪んだ。






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ゆゆ(プロフ) - 月夜さん» ありがとうございます!もちろん受け付けております! (2022年11月13日 22時) (レス) id: 35eb047a16 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 最高ですね!番外編ってリクエスト大丈夫だったりします? (2022年11月12日 22時) (レス) @page42 id: 27bef482ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はなさん» 期末テストが終わり、修学旅行も終わった後からの更新スタート!今は着々とストーリー書いてるよん(*^-^*)♡あと私は神ではない。真の神はあなたである(意味不明) (2022年11月12日 22時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 新シリーズ…!神か?神だったな…(自己解決) (2022年11月12日 19時) (レス) id: eb8cebab9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 椿姫さん» わー!ありがとうございます!12月からは新シリーズ突入なので、そちらも見てくださると嬉しいです! (2022年11月10日 21時) (レス) id: ee2abfb454 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆゆ | 作成日時:2022年10月23日 11時

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